林和彦の公開日記
2008年9月30日(火)　水漏れ事故発生
　今朝、私の隣の部屋の学生居室で、水道の配管から水漏れを起こし、階下に水が浸入していたとの連絡を受けた。幸い、階下は天井のしみと、床に水溜りを作った程度であり、大きな被害が無かった。水漏れを起こした部屋も50cm程度の水溜りができた程度で特に被害は無かった。学生からの通報で技術職員が直ちに対処いただいたことに感謝。
　原因は、水道蛇口に繋がる配管のパッキンが相当に劣化していて、殆どなくなっていたことによる。実は、1週間ほど前に、学生から、蛇口が緩んでガタガタすると報告があり、私が実地見聞をしたが、水漏れに直結するとは何故かそのとき考えが及ばず、そのうち直せばよいと思ってしまい、対応を先送りにした。その後すっかり忘れていた。
　パッキンが殆ど存在しない状態で持ちこたえていたのは奇跡的で、漏れと同時に一気に全て外れていたら、夜間、水がジャージャー漏れて大変なことになっていただろう。2年前の10月10日は、忘れもしない、研究室で大きな水漏れ事故を起こしている。漏水量は膨大であったが幸い実験機器の被害や実験データの消失には関係しなかった。余りにもショックは大きく、10月10日は「研究室の安全の日」と私は勝手に呼んでいる。呼び続ければ定着するであろうか。（単に呼ぶだけでなく、研究室内の安全教育は力を入れているつもりである。）
　我が土木工学棟は建設後約30年経過するため、水周りは相当に劣化しているだろうと思う。事故報告の届けを出した。全学的にフィードバックされることを期待する。

2008年9月29日(月)　千葉工業大学未来ロボット技術研究センター
　朝たまたまラジオで、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長、ロボット研究者の古田貴之氏のインタビューを聞いた。何度かテレビで見たことはあったように記憶しているが、詳細は忘れていた。氏は、小さい頃から鉄腕アトムにあこがれて人型ロボットを作ることを目指していたが、ある時、本質を突き詰めると必ずしも人型をしている必要はないと思い至った、という。どんな分野でも、本質をつかむ必要性は言うまでもないが、先日書いた設計の話もそうだが、私がたまたま見聞きする「本質」という言葉は、機械屋さんから発信されている。たまたまだろうか。機械の分野には、そういうことを教育する土壌があるのか？単に私の見識が狭いだけか。
　タイトルは、本文からは適切ではないが、そういうセンターがあることを知ったのでメモ。

2008年9月29日(月)　実験棟の大掃除と席替えの実施
　本日、実験棟の大掃除と、学生居室の席替えを行った。朝9時から開始して、途中2時間の席替え作業を挟み、掃除の終了は17時半であった。
　実験棟の掃除は、月１回の当番による掃除のほかは、例年３月頃に年度末大掃除として、実験棟の大掃除と、部屋のワックスがけ（２年位前から実施）を行っていた。実験棟の大掃除は、大勢で一斉に行わなければ掃除できないような、養生用水槽の水抜きや、骨材サイロの整理、ミキサーの清掃、各種溝さらい、等である。今回は、前の年度や学期の各種の実験遺産の片付けも徹底的に行った。2006年度までは、私が音頭を取って実験棟の大掃除を行っていた。2007年度は、新しく始めた実験室係を中心として行う予定であったが、卒論発表会後の日程調整がうまくいかず、結局大々的なものは実施できていなかった。
　そもそも3月の掃除は、そのような日程調整の難しさもあることと、まだ気温が低いので水周りの掃除は困難である。また、研究のまとめが終わっていない場合が多く、その年度の供試体もとりあえず保留というものが多く、あまり片付かないという特徴もあった。それらを改善するため、今年から趣向を変えて夏季に大掃除をすることにしてみた。その効果はあったように思う。
　恒温室、実験棟内、屋外と３つのパートに分けて、パートリーダーを決め、そのパートリーダーがメンバーの学生を率いて掃除をしてくれた。これらの実施方法を提案してくれたのは、今年度の実験室係である。とはいえ全て放任ではなく、事前にリーダーと打合せをして、教員側からの要望や押えておくべき点は指摘してある。
　あいにく、小雨の寒い中の実施となったが、私の予想を裏切り、学生の活躍は目を見張るものがあった。内容は結構ハードであったが、動き出したからにはやるしかない、とそれ自体を楽しもうとしているように私には見えた。夏休み中ともあって、多少遅れて集まる学生も見られたが、仲間たちが一生懸命働いているのをみて、「いつもと違う。遅れてまずかったな。」と思わせた雰囲気を自らが醸し出していたのは、見ていて爽やかであった。カヌープロジェクトのように、やると決めたからにはがんばろう、というポジティブな印象を受けた。我が研究室の良い点だと思う。ただし、この裏では、リーダーらはいろんな気配りで大変だったと推察できる。本当にお疲れさまでした。
　席替えに関しては、短時間で慌ただしかったが、席の移動だけでなく、残ったものの整理なども率先して行っていたようである。自分の部屋はきれいに使いたいと誰でも思うので、是非このまま継続させて欲しい。賞味期限が半年以上前のお茶の中から、ポニョっとした「何か」が出てきたのには、周りにいた皆が驚いたが、次からはそうならないように。
　席替えについては、環境を変えることの大切さを重視し、２年位前から半期に１回強制的に席を替わるように、仕向けている。
　３つある学生居室の各部屋には、部屋長を選出してもらい、主に部屋毎の掃除をどのように実施するのかを、考えて実行してもらっている。内容について最低限のリクエストはしているが、基本は学生のマネジメントに任せている。この前学期は、初め、中間、最後の３回、部屋長ミーティングを実施し、これまでの反省と次の部屋長への引継ぎを話し合った。そもそも、なぜ決めたことをやれないのか、という根本的なことが半期にわたって議論されてきた。当初、部屋の掃除に関しては、スタッフ側の私の思いだけが強くて学生側は受身なのかなと自問しながら進めていたが、部屋長との話し合いを通じて、そんなことはなくことがわかった。部屋長の学生たちは、皆が分担して部屋の掃除をすることに対してどうすればできるのかについて悩み、改善案を自ら提案してくれた。後学期にどうなるか、期待したい。
　何かを実行する時には、①しっかりした目的を持つこと、②それを構成員が理解すること（そのためには、目的を繰返し話すことが大切）、③当初考えた方法に不具合があれば積極的に改善をする、というベーシックな方法が大切であり、それを実行してきたことが、実を結びつつあるように感じた１日であった。　

2008年9月25日(木)　こだわる
　常に鞄に入れて持ち歩いているものがある。日本地図だ。平凡社、ベーシック アトラス 日本地図帳。一見、小中学校の社会科地図帳のようであるが、中身はぜんぜん違う。これに出会うまで、紋切り型の図葉の地図帳はたくさん見てきたが、これに勝るものは、現時点で見たことがない。
　出張に行って、その土地の情報を知りたいことはある。新幹線に乗っていて、この川は何だ、この山は何だ、という経験は無いだろうか。仙台のように大きな町に行けば、市街地の観光地図は無料で幾らでも手に入るが、さらにちょっと郊外に行く時には絶対的な位置関係が全くわからなくなる。それはそれで、気にならない人は別にいいが、私は気になる。
　150ページもあるが、内容は全て日本国内。各県の見開き1枚のアップはかなりの数確保されている。例えば、他にあるように無理やり四国を見開きに収めようとしていないので、四国と中国の関係、四国と九州の関係というのが非常にわかりやすい。縮尺も基本的に1/45万に統一されているので、北海道の情報量がやたら少ないということもない。さらに、計画中の高速道路や新幹線が、点線で記されているのは、土木屋として必須であろう。
　泊まりの出張はもちろんのこと、何か議論をしたりすると、地名に関するトピックは実は頻繁に出てくる。そこでおもむろに地図を取り出すと、初めは良く笑われていたが、最近では地図持ってないですかと聞かれることも多くなってきている。どんなことでも、こだわることは大事だと私は思う。
　この地図も最新版が出ているかと思ったら、初版のまま改訂されていない。もし、売れないので改訂されていないとしたら悲しい。それならと思ってユーザーを増やすことに貢献できないかなと思い、ここに紹介する次第である。

　地図と言えば、もう1つお気に入りの地図がある。高速道路のサービスエリアで300円で売っている、全国版高速道路地図。4枚組みの日本全図だ。これは持ち歩いてはいないが、薄くてかさばらないし、安いので複数買っておき、打合せ等で大胆に書き込んだり、興味のある人にプレゼントしたり（先日は海外からのお客さんに喜ばれた）、活躍している。発行元が道路なだけに、鉄道の色が薄くて見づらいが、十分。

　ついでに、もう1つ、常に鞄に入れているもの。小さな、チャック付ポリ袋。ちょっとした現場見学で何かの工場（骨材、セメント、他）を訪れた際、サンプルをもらっても入れる袋がないことに何度も遭遇した。その後、結構活躍している。以前、ある歴史的コンクリート構造物を見ると、表面が黒かった。色々調べると、近くを流れる川には、砂鉄のために真っ黒な砂が。ということで、幾つかの川砂のサンプルを持って帰った。とはいえ、持って帰るだけで満足して、それを調べる術を持ち合わせていないのが悩みの種である。

2008年9月25日(木)　とにかくやってみること
　細田先生のブログに紹介されたためか、一時的にアクセスカウンタが伸びて驚いた。そのブログに、私のことが書かれている。松島にある潜穴という土木遺産見学について、私が「ぜひここへ行こう，と引率してくれた（細田ブログ9/21）」とある。「ぜひここに行こう」という言葉が出るまで、実は様々な葛藤があった。馬鹿みたいだが、軽く出た言葉ではない。
　出張等で遠くの土地を訪れる際には、自然・遺産・街並みを見学をしたい。これは誰でもそう思うだろう。数年前は、出張自体の準備で忙しくて調べないまま時間が過ぎ、特に何も見ずに帰ってきたことも多かった。しかし、その数年の間に自分の中で何かが変わり、その時その時を大切に生きたいと思うようになった。昨年の夏合宿の感想でも書いたが、2006年春のイタリア出張の際に、口頭発表準備の忙しさにかまけて特に下調べもせずにイタリアの地に降り立ってしまった。学会後、池田尚治先生の主催するメッシナ海峡大橋の建設地を訪れる1000kmのバスツアーに参加したので一応色々なところを見ることができたが、全て受身であった。その時が大きな転換点である。

　実は、松島で時間が空くとは思ってもみなかったので、調べていなかったのだが、ぽっかり時間が空いたのがわかった瞬間、モバイルPCで探してみた。すると、土木学会選奨土木遺産が割と近くにあることがわかった。水路のようなもので、直接コンクリートに関係しないし、先生方を呼んでも面白くなかったらどうしよう、と考えていた。しかし、半井先生が食らいついてくれた（実は余り覚えていないが、多分そうだった）ため、引くに引けなくなった。

そこで考えたのは、
　１）土木学会の選奨土木遺産だから、何とかなるだろう（多少、権威にすがっていた）。
　２）言い出しておいて、やっぱりやめる、とは「もう」言いたくない（過去の自分は結構そうだったので、それからの脱却！）。言い出したら、やってみる。それを実行すれば道は開けるだろう。
　３）そもそも、判断材料は全て揃っている中で悩んでいるということは、どちらをとっても同じ、という言葉を思い出した。もし、明らかに優劣がついていたとすれば、既に結論は出ているはずである。結論が出ていないなら、優劣が付けがたいこと。（これは、細田先生がある方から聞いた言葉で、私も感銘した言葉である）

　旅館の方に聞いたら、タクシーで廻ったほうが良いことがわかり、早速タクシーで３人で見学を開始した。たまたま出会ったタクシーの運転手さんは、もちろん地元でそれら土木遺産にも詳しいのだが、個人的にもそれらの構造物に興味を持っておられたようで、我々が知っている専門知識を交えて解説したところ、逆に理解が深まったと感謝していただいた。途中、思いがけずＪＲの廃線トンネルを通ったりと、とても有意義な約２時間であった。案ずるよりも生むが易し、を実感した。
　途中、野蒜（のびる）築港も実は近かったことがわかったが、時間が無くて今回はパスした。近代土木では野蒜港は知っておくべき（私は詳細は忘れきっていた）事柄なので、近いうちに勉強しておき（近代土木系の本はたくさん持っているが読んでいない）、次に仙台に立ち寄ったら足を伸ばして訪れたいと思っている。

2008年9月25日(木)　コンクリート診断士研修が担保するもの
　過去の話になるが、本を整理していて思い出した。9月2日、コンクリート診断士の資格更新のための講習会に参加した。コンクリート診断士は、4年毎のレポート提出と講習を受けて資格が更新できる。講習会はたった3時間であり、それだけで技術の全てを網羅できるとは考えていないが、強制的に参加させて情報を得させることは良くできたシステムだと思った。
　配布されるテキストの前半は、コンクリート診断技術の動向というタイトルで、①最近5年間に改正・制定されたJIS規格の動向、②学協会の指針・仕様書類の動向、について、それぞれ数行でエッセンスがまとめられている。発表の前半はこの内容に関するものであった。
　コンクリート診断士を受験する場合、2日間の講習会参加（テキスト込み）が必須で、その年の試験に落ちても次の年だけ受験ができる。つまり、ここに集まった診断士の方々は、4年前もしくは5年前のテキスト購入・講習会受講者である。テキストは毎年改訂されており、最新の情報を含んでいるが、その後の4ないし5年間の新しい情報収集は診断士に任されているものの、このような講習会により継続的な情報収集が担保されるのである。ただ、実際には、診断士と名乗るには、それ相応の継続勉強が必要なため、コンクリート業界で働いている以上4年間ものらりくらりできるわけはないが、ついうっかり情報が欠落していることはある。欠落の穴埋めが担保されるというシステムができている。システムの設計としては、良く考えられているな、と思ったのである。また、コンクリートの分野は、土木と建築で規準類も異なり、お互いに他分野のことは疎い傾向にあると思うが、それぞれをカバーした情報提供がなされていたので、役に立った。
　本来、研究目的でちょっと前から欲しかったのだが、再度紹介されていたのを目にしたので、この際にと思って早速購入手配をかけ、今週になってやっと納品された。全て日本建築学会の書籍である。まだ読んでいないが、自分へのリマインダも込めてメモしておく。
　１）建築物の調査・診断指針(案)・同解説
　２）建築工事標準仕様書・同解説JASS〈5〉鉄筋コンクリート工事
　３）鉄筋コンクリート造建築物の品質管理および維持管理のための試験方法
　４）鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説

2008年9月24日(水)　時間管理
　本日は、ちょっとダラダラとした時間の過ごし方をしてしまった。Aの作業に取り組みながら、Bを行い、またAに戻り。効率は非常に悪かった。気がついたら、今日行うべきものが終わっていないという状況にあった。
　数年前から、仕事の取り組み方や、時間管理についての本は幾つか読んできている。納得できることから、一部参考にしたり、自分には合わないものであったり。ただし、第一線で活躍されている方々（主にリーダー・経営者）のそれを読むと、工夫しないと結局時間がなくなることは明らかである。それらの内容全てをここに記すことはしないが、時間管理についてよいなと思っていることは次のとおり。
　どの仕事をすべきかを選ぶ方法は、また別の話。前提条件として、その仕事がやるに値する、やるべきだ、というものが揃っているものとする。

１）　行う時間と時刻を決める。終了するまでにかかる時間を見積もる、またはその日にそれに費やす時間を決め、「○時～○時に行う」、と決める。そして守る。
２）　これは自分で思いついて昔から行っていたが、例えば1時間もしくはそれ以上かかる仕事をしようとした場合、キッチンタイマーで、例えば20分のアラームを鳴らす。20分たって、強制的に我に返るとその20分は果たして集中して行っていたのか、成果は出たのか？ということを考えるきっかけとなる。そしてまたアラームをかけて続きの仕事に取り掛かる。これは、前から心がけていた、私なりのリマインド方法である。

　キッチンタイマーと聞くと、小さい頃に台所の冷蔵庫に貼り付けて、母が使っていたリンゴのデザインをした今で言うとダサいイメージであったが、数年前のある時、大学の生協の文具コーナーでカード型のものを見つけた。音は、電子音／バイブレーター／両方から選べ、ポケットの中に入れても誤作動しないようにロックボタンもついている。それまで使ってきた機器の不満が全て解決されているではないか。それ以来、結構いろんな時にポケットに忍ばせている。未だに大学生協でも売っているし、広告にも出ているようである。（1つだけ難点は、音モードの時、予鈴として10分を切るとピ、5分を切るとピピと鳴ること。慣れたものの、なくてもよい。バイブモード時には鳴らない。）

　大学教員の方なら実感していただけると思う。試験監督をしていて、試験時間内に監督員が休憩をとれる場合がある。90分の試験なら、開始後と終了前の10分を除き交代で退出できることがあるが、自分の居室までの片道10分を差し引くと、実際には50分の休憩がとれる。60分の試験ならたった20分である。仕事をしたり、休んだりするが、遅れたら困るということで結構ビクビクして心が休まることは無かった。タイマーを使い出してから、安心して時間を有効に使えるようになった。また、実験室で作業をしていると、いつの間にか時間が経過していて、別の予定に遅れたこともある。やはり、タイマーは私にとって必需品となっている。
　個人的な話であるが、部屋には昔買った大きめのタイマーと、前述のものと2個使っているが、スタートボタンとリセットボタンがそれぞれ左右逆についているので、ボタンを見ずに操作した時、実はリセットを押していてタイマーが作動しておらず打合せに遅れたことがある。ずっと懸案事項だったので、この際統一しよう。

2008年9月23日(火)　陣ヶ下渓谷
　また、木や森の話で恐縮だが、祝日だった本日にたまたま、陣ヶ下（じんがした）渓谷を訪れた。渓谷というとどこか遠くへ旅行したのかと思われるかもしれないが、大学のそばにある自宅から車で10分のところにある。横浜唯一の渓谷と説明されることもあるようだが、詳細は良くわからない。渓谷の定義もわからないが、とにかく素人目には手付かずに見える自然が残っている。
　横浜環状２号線という道路がその上を通っているのだが、大学２年生のある講義の中でその高架橋の建設現場の見学を行ったことがある。その時は、下に渓谷が広がっているから景観に留意したと説明されてもピンと来なかった。土木学会デザイン賞を受賞したと聞けば、ピンと来る人もいるはず。
　http://www.jsce.or.jp/committee/lsd/prize/2003/works/2003b1.html
　（ただし、土木学会のホームページに紹介されている写真は、渓谷の端のほうであり、実際は遊歩道はあるが鬱蒼とした森である。）
　この場所が好きで年に数回はここに来ているのだが、昨日は、家族に連れられてその森を歩くことになったため、今読んでいる宮脇先生の本（先日買った4冊中、3冊目に突入）のことを考えながら歩いていた。気づいたのは、その本に出てくる木の名前、つまり古くから日本を代表する木の名前や形が全くわからなかったことである。カシ、シロダモ、モチノキ、と言われて形が思い浮かぶ人は少ないだろう。マツ、スギ、などは知っているが、そもそも用材のための植林に植えられているので、本来自然の姿とはいえないという。
　木の名前を覚えたいということは、実は15年来、おぼろげながら思っていたことである。高校時代から山岳部に入り、大学ではサークルでたまに山に登っていた。今はちょっと高山から遠ざかっているが、一生の趣味になることは間違いない。昔から、植物の名前を覚えていれば、多少は登山の幅も広がるかなぁと思っていたが、図鑑を見てもよくわからない。ということで、今に至るのである。最近は、少なくとも年1回は、木の名前を覚えたいねと夫婦で話すのだが、同じことを毎年繰り返している。
　今までは、単に暗記することが目的だったつまり、明確な目的が無かったのでモチベーションが得られなかった。でも今は、宮脇先生について共感し、少なくとも宮脇先生が言われている内容、本に出てくる植物の名前を理解したい、と思うようになっている。急ぎの内容ではないので、すぐにやるつもりはないが、先日買った4冊は少なくとも全て読み、モチベーションは維持したいと思っている。
　ということで、同じ事柄でもモチベーションの持ちかたの違いで明らかに人の動きは異なるな、と思った１日であった。

2008年9月22日(月)　フィードバック
　夏合宿で思った反省点を、次年度に役立てられるように、メモしておく。フィードバックは、終わった直後にしなければ直ぐに忘れるという単純なことを、過去に何度も味わってきたので、それを打破すべく、思いついたことは必ず次回に生かせる形で残すように心がけている。特に、昨年から、委員会で数多くの現場調査を行ってきたが、当初は忘れ物というよりも現場に何を持っていけばいいのかわからない状況から始まり、自分の反省やら、他の研究機関の道具を見て勉強させてもらったりやらで、結構いいところまで装備リストを充実させることができた。これができたのも、調査から帰ってきた後に、すぐにリストを更新したことである。次の調査の時に、前回どうだったっけと反省したところで、所詮「楽しかった記憶」しか残っていないのである。
○黒部ダム等を見学した昨年は、その時の感動を、個人のホームページに記した。それを今の自分が読み返してみる。「黒部川の過去の災害について調べる」と書いてあったが、１年たっても調べていない。調べようと自分で思ったら、調べるべき。今ちょっと手に負えないので、ここにリマインダとして挙げておく。これは、記録をしていたが、その記録方法が悪かった例である。日記という新たな手段を手に入れたので、それもリマインドに用いることとした。
○地形図を買うべきだった。とにかく、1/50000地形図は、買っておくべきだった。今回の北リアス線の行程は、4枚程度（=1000円程度）であったが、後で見ると、とても良い内容が載っていた（バス車内で、ああでもない、こうでもないと言っていた事が、全て情報として載っていたのだ）。今年は、忘れていたのではなく、なぜか、買わなくてもいいやと思い込んでしまった。ということで、このままだと、来年の合宿でも、同じく「買わなくてもいいや病」が発病するかもしれないので、ここで退治しておく。来年の自分へ。ピンポイントの目的地でなければ、絶対に強制的にでも地形図を買うこと。先日の青森の大間鉄道の現場調査でも、地形と鉄道路線の関係や、調査地を流れる川はどこから来るのかなど、地形図を買っておけば解決できたことがあり悔しい思いをした。私の私自身へのフィードバックである。

2008年9月22日(月)　おせっかい
　私がかねてから考えていて、時折学生に伝えていたことである。昨年度の謝恩会後の研究室飲み会で話したと思うが、すべったことは自覚している。夏合宿の初日の反省会でも例を挙げて話をしたが、細田先生から補足コメントも入ったことで多分趣旨は伝わっているだろう。ともに、当時、思考が不十分でかつ話し方が下手だった等で思ったよりも伝わっていないと思うので、改めて整理する。
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　だれかがやるだろうと皆が考えていて、結局誰もやらないという状況は、よくあることだが、非常につまらないことだ。研究室内でわかりやすい例を挙げる。夏合宿で留学生への合宿の連絡が不十分で結局欠席となった。ゼミの部屋の鍵をだれも取りに行っていないで、全員が待ちぼうけ。週１回義務化している部屋掃除で、項目としてあがっているエアコンのフィルター掃除を、１週くらいやらなくてもいいだろうと考えてか、結局誰も掃除せず、数か月分の埃が溜まっている。ゴミ捨て当番を規定したら、当番の留学生が帰国中だが、当番以外の人は何もせずゴミが山積み。
　私は、単に「良いことだから」というだけで学生に強制しようとは思わない。現に、一般的な組織（企業ということではなく、様々な単位のグループで、という意味）の中では、それがまかり通っている。悲しいことに今の世の中、それができていないのが当たり前になりつつあるようだ。しかし、自分たちを高めていこう、という組織の中では、それを打破しているように私は思う。少なくとも、この程度のことが打破できないような組織は、結局、与えられたことしかしない、自分から進んで考えない、行動しない、という風になると私は考えているからだ。
　キャッチーな言葉を捜そうとすると、これらのことを私は「おせっかいになる」と呼んでいる。勝手に簡単に定義すれば、「皆がよいと思うことを、他人の目を気にせず行うこと」だろうか。電車でお年寄りに席を譲ることがまさに似ていると思う。良いこと（組織にとって全体でプラスになるという意味）であるのは間違いないが、自分から言い出さなくても直接怒られたり責められたりするものではない。
　１つ改善例を見せよう。友達の結婚式や２次会に呼ばれる機会は今後多数出てくるだろう。新郎の友人となると、自分は知らない、相手も自分のことは知らない、という状況で、誰もまとめ役がおらず、集合写真を撮ろうにも誰もが遠慮して時間だけだらだら過ぎる。さらに、撮影の段になっても、顔が隠れていたり、右のほうばかり人が偏っていても、シャッターを頼まれたお店の店員さんはそれを指摘するマインドは持ち合わせていない。親戚の結婚式なら、写真好きの叔父さんに任せればよい。だけども、そうでない場合、そんな状況が嫌いな貴方こそが前に出て指示をするべきなのだ。
　念のため繰り返すが、何も集合写真の撮影方法を教えたいのではない。どんな状況でも、それが置かれた状況を瞬時に考え、「誰でもよい誰かが動かなければ進まないような状況」であればそれを自分が買って出れば、状況は打開できる。その際、誰も貴方のことをおかしいとは思わない。

2008年9月20日(土)　宮脇昭先生
　昨晩早速家に届いた宮脇昭先生に関する本を読むことにした。まずは、宮脇先生ご自身の著書ではないが、「魂の森を行け　3000万本の木を植えた男（一志治夫著、新潮文庫）」にした。宮脇先生に関する全体像が把握できると思ったからである。１ページ目から宮脇先生の人柄、考え方、努力の仕方に引き込まれて、一気に読み終えた。徹底したフィールドワーク、ドイツ留学、森の再生に関して周囲の人を巻き込んで世界を動かしていること。どれも新鮮であったが、今まで彼を知らなかったことがもったいなかったとまず思った。本の中で、鈴木邦雄先生、藤原一繪先生、・・・・などの実名が出てきて、今まさに横浜国大でご活躍されていることとリンクして読んでいて熱くなった。
　宮脇先生について、以前から名前を聞いていただろうが特に意識に留めず、ブループラネット賞を受賞して有名になってから横浜国大にいた方なのか、程度の認識しかなかった。１年半前に、ある学会の委員会の懇親会で、「横浜国大のキャンパスには森があって宮脇先生が植えられたんですね。」と言われた際、全然知らなかったことに対してとても恥ずかしかった。結局、勉強したのはそれから１年半後の今なのであるが。
　所用のため今朝大学に来ている。正門から入ってたくさんの木々の間を通ってきたが、今までとは木々の見え方が明らかに変わった。時間ができたら、久々に散歩しようと思う。横浜国大以外にも、近くでは総持寺、また工場の周囲に作られた森（首都高湾岸線から見える東電火力発電所周囲の森もそうだったのか！）や日本各地の植林も機会があったら見てみたい。ダム工事後の森の再生もあり、土木屋としては全く関係ないわけではないことを再認識した。
　この本を書いたノンフィクション作家という一志治夫氏にも興味を持った。他の著作も読んでみたい。

2008年9月19日(金)　発明・改良・工夫
　
　土木学会の際に仙台で泊まったホテルで脱帽した。
　写真で弧を描いているのは、シャワーカーテンのレールである。ビジネスホテル等で特に狭いユニットバスに入ると、シャワーの勢いでその付近の気圧が下がるために、シャワーカーテンが吸い寄せられて、腕にペタッと貼り付いて気持ち悪い。それを回避するために、弧になっているのである。実際、圧迫感も少なく快適であった。
　以前からペタッとを体感するたび、どうすれば改善できるかと思考していて、私が思いついた解決策はレール部分を風呂釜からはみ出させてカーテンを斜めにすればいいのではないかという程度であった。ただそれでは、何も考えていない宿泊客がいれば、カーテンの裾を風呂釜から出したまま使って周囲が水浸しになってしまうので、不採用だったろう。今回のものは、カーテンを畳んだ際には風呂釜に収まっているわけで、カーテンを広げてもはみ出ない。問題を一気に解決している。
　というわけで、私が脱帽したことは２つ。１つは、この製品を開発した人・会社のアイデア。もう１つは、その製品を採用したホテル。今回は格安ビジネスホテルではなかったが、もっと高いホテルで先のペタっとを経験したことは何度もあるので、単にコストの問題だけでないと思う。結局はそこのホテルで働いている人のマインドの違いではないか。

　実験装置を作りたい、実験をしたい、何かを実行したい、ということを考えた際に、設計というプロセスに移る。いきなりは設計図や手順書は作れない。それを行うためには、取り組もうとしていることの本質が何で、それを達成するためにはどういう内容が必要で、それを行うには具体的に何をするのか、という物事の本質を見るという作業が必要である。ということは、独学で実行していた。小さい頃から、思いつきや工夫は得意なほうだったので、いかにしてそれを磨けばよいのかと常に考えていた。それをまじめに研究している学問があることはうすうすは感じていたが、有名なのは、失敗学で有名な畑村洋太郎先生の研究なり、一連の書籍だと思う。「だと思う」と書いたのは、失敗学ではない設計に関する著書はまだ読んでいないためである。たまたま見つけた中尾先生の本も面白かったので、両方勉強したい。

以下、関連する「勉強したいことメモ」
　畑村先生のNHK課外授業出演（9/28日）
　畑村先生の設計に関する著書を読む　：どれから読めばいいのか？
　「失敗は予測できる」中尾政之　：畑村先生の失敗学よりもストンと落ちた。他の著書も読む。創造設計学という本もあり、気になる。なお、池田尚治先生の提唱する「性能創造型」の設計もきちんと理解したい。

2008年9月19日(金)　反復
　前に、半井先生の日記を見て公開日記を書くことに決めたと書きました。ただ、その前段階として、宮崎大学の尾上助教の日記を読んだことも心が動かされました。
　最近何かにつけて実感したことは、人が行動するプロセスとして、何度も何度も聞いてさらに自分で納得してやっと動けるようになることです。よって、合田先生、細田先生、尾上先生、半井先生、と日記に関するトピックが段階的に私にもたらされ、その途中で自分でそれについて思考したからこそ、初めて重い腰が上がったと思います。もし、その４人が日記を書いているのを私が同時に耳にしたら、逆に自分から壁を作って（引いてしまって）、動けなかったと思います。
　このことを、自分の性格として理解しておけば、何かと便利だと思いました。さらに、人を動かす時、人を説得する時、学生に指示を出す時にも、何か手がかりになるのではないかと思っています。

　昨晩、宮脇昭先生の著書を、数冊ネットで注文しました。気になったら直ぐに実行することが、今年の私の目標である「愚直に実行する」の実行です。そうしないと１年後も同じく、宮脇先生のことを勉強したいと言っているだろうと想像がついたからです。

2008年9月18日(木)　目的と手段
　「手段だったものが目的になってはならない。」誰でも知っていることであるが、のめりこんでいると、つい陥ってしまう。私の場合、研究をして論文を書くことに集中するために、研究室の先生方から色々と私の労力を軽減してもらうシステムを作っていただいた。それを適度に管理していき、割いた時間を、本来の目的のために使う。
　こうやってはじめた日記も、日記を書くことに注力してしまってはしょうがない。こうやって始めてみると、昼間でも、ふと何を書こうかと考えるようになった気がする。単にエッセイ集のようにそのためだけにネタを集める、というのではもったいないが、前に進むための反省や思考、となるように努力したい。
　何度心を切り替えて、何度いつの間に「手段の目的化」に陥っていたことか。完璧に陥らないことを目指すのは難しいと思うので、陥った時や陥りそうな時になるべく早く気づかせるシステムを作るのが自分にあっていると思う。毎日開くこの日記に適度にメッセージを入れておくと、嫌でも自分でそれを読み返すので、それに気づく、ということだと思う。

2008年9月17日(水)　東京工業大学訪問
　午後、東京工業大学　大岡山キャンパス　緑ヶ丘地区に行った。６、７年ぶりに訪れたら、土木系の建物は耐震補強していて外観とトイレは綺麗になっていた。１時間ほど早く着いたので、キャンパスを見て廻ろうと思って歩き始めたが、結局わかったのは、非常に広いということであった。食堂などのメインはやはり隣の大岡山地区だったことが後でわかった。外部から来た人にとっては、緑ヶ丘地区（と大岡山地区の関係）の建物案内は不親切であったが、横浜国大も多分そんな感じだと身につまされた。
　さて、キャンパスを歩いていて驚いたのは、緑の多さであった。せみの鳴き声とともに、季節がちょっと早い気がするが既にいちょうの木からは銀杏の実が落ち、独特の香りを漂わせていた。木にはナンバリングがしてあり、900番台だったので、多分大岡山地区から数えているだろうから少なくともキャンパスに1000本程度の木が植えられているのだろう。横浜国大は緑が多いと思っていたが、数や密度の上で、東工大や東大駒場、東大本郷と比べてどうなのかというのが気になった。木（森）の質については、やはり宮脇先生の著書で勉強しなければと思った。
　近隣大学の助教の方と研究のディスカッションや、実験室見学の後、大学環境、研究室環境について話し合って、幾つかヒントを頂いた。この繋がりは長く続けていきたい。

2008年9月16日(火)　本当に二者択一なのか
　公開日記は初めてだと書きましたが、実はこれ以外に公開日記があります。大学3年生の時にベトナムを旅行した旅日記です。本名は明かさずに10年間公開していたのですが、土木構造物に関する写真も無いことはないので、ここにリンクを貼って情報を統合したいと思います。過去に１回だけ、研究室の学生が知らずに検索したら私だということに気づいて連絡してくれたことがあります。
　この旅行には大学と関連した思い出があり、忘れることができません。大学３年の夏休みは、インターンシップ制度があり、希望すれば何らかの形で企業のインターンができます。当時は、インターン参加も人並みに興味があったのですが、それ以上にベトナムに行くことに強い思い入れがあり（註釈：今ではベトナムというと日本人には、観光の対象としては他の諸外国と同じような感じでしょうが、当時は、周囲にベトナムに行くと言ったら、10人中9人からは「何でまたそんなところに行くの？」と言われ、観光旅行の対象としてはまだまだマイナーな国でした。）、インターンを希望すると夏休みの予定が立てられないという誤った一方的な情報で担当の先生に相談しないまま、時が過ぎてしまいました。その後数年間、当時の判断に対しての後悔が尾を引きました。インターンに行かなかったことが、土木を選んだ学生として、非常に恥ずかしいことのように思っていました。学生時代に、土木の経験の少なさを、インターンに行かなかったことも関連していると何故か劣等感を感じていました。今になって思えば、インターンはひとつの手段であり、そこで自分がよい経験をするかどうかは自分次第であり、単に参加しなかったから云々というのは無いと思います。（多少、その企業が自分に合う／合わないという運はあるでしょうが）当時そう思ったこと自体、経験が浅いのでしょう。そのせいにして逃避していた面もあったと思います。
　今、その経験を今の自分で再度検証してみます。インターンに行かなかったこと自体はその時に自分が自信を持って選んだのだから尊重したいですが、そう思っていることを担当の先生になぜ相談しなかったのか、するべきだった、とは分析できます。望みどおりにいくとは限らないけれども、両者の日程を調整するなど何かしら妥協点があったのではないでしょうか。また、結果としてできないにせよ、結果として自分の希望を周囲に伝えることは、何かしらのプラスの方向になると思うようになりました。黙っていては、周囲に何の影響も及ぼさないのです。今はそんなことはないと思いますが、当時の私はそうでした。何事にも、それが本当に制約条件（境界条件）なのか、ということを常に意識する必要があると思います。
　「制約条件」について常に意識することを教えてくれた書籍の一つは、ザ･ゴールという本です。

2008年9月16日(火)　幅広い知識
　9月8日の教員懇親会に参加した際に先生方と議論したことです。学生が就職活動ををするに当たって、土木分野の中で自分の進路を決めるためにどんな情報源があるのか、というのは昔から気になっていました。横浜国大土木には、私は現役学生の時から数えると、結構な期間います。その間、就職分野の流行り廃り、景気の変動がありました。公務員、ゼネコン、コンサル、鉄道運輸、電力系、、プラント系など、名称はともかく色々ありますが、学生自体がその違いを理解し、それを踏まえた上で就職活動を行っているのかというのが、疑問です。
　私は、学部２年生の終わりくらいから、土木の知識を得るには日経コンストラクションだ、と何故か目覚めて、それ以来定期購読をしています。その時に、その判断は正しいのかと、故　今井五郎教授に相談しにいって、是非読みなさいと言われたのを覚えています。（私が大学に就職した際の歓迎会で、今井先生がそのことを覚えて下さっていたのには感激しました。）
　特に学生はたまたま今コンクリートの研究を題材に大学の教育を受けているのであり、将来に渡って必要な土木の総合知識から遠ざかってはいけないと思います。土木学会誌、日経コンストラクションは、土木に関する総合雑誌であり、広い情報収集にはうってつけだと思います。下記の土木学会年次大会の聴講の件とも内容がリンクしています。

2008年9月16日(火)　土木学会年次大会
　学内の土木工学教室の卒論発表、修論発表などの審査会は、准教授以上が審査を行うため参加は必須で、助手（特別研究教員）は参加は必ずしも強制ではありません。以前は、殆ど参加しておらず、自分の所属する研究室の発表だけ参加し、いわゆる応援に駆けつけていました。数年前のある時、細田先生から、研究室外の発表も見るのが望ましいと指摘されました。コンクリートという限られた分野だけでなく、土木の分野として一体どのような研究が行われているのかを把握しておくことは必要で、むしろ自分の研究室はゼミや事前練習でしっかり聞いているので改めて聞きに行く必要もない、という内容でした。『審査会は土木学会の年次大会が間近で行われているようなもので、色々な発表を聞ける機会を逃すのはもったいない』と言われました。それ以降は、可能な限り全部を見るように心がけるようにしています。
　翻って今回の土木学会年次大会はというと、狭義には、コンクリートの分野では、今のテーマである「鋼材腐食」や「耐久性」のセッションだけを聞くのではなく、他の研究テーマも聞くこと。広義には、セッションだけでなく研究討論会にも積極的に参加し、幅広い視点で物事を考えること。さすがに、コンクリート分野を差し置いて、地盤・水理・計画分野のセッションに進んで参加するのは厳しいものがあります。しかし、ある研究討論会で京都大学の服部先生が発言されていたのは、「土木教育」のセッションに参加して、様々なインスピレーションを得た（私の意訳）と言うことです。それを聞いて私は、そのようなセッションがあること自体余り意識せず、出席することは全く考えていなかったため、服部先生が参加されることに驚きました。しかし、プログラムの講演タイトルを見ると、必ずしも今私が直面していることと遠くない内容の発表も複数ありました。これは、プログラムをよく読めばわかっていたことであり、それを怠っていたことに尽きます。
　何のフィードバックもなしに反省しても意味が無いので、とりあえず今後土木学会年次大会への私なりのルールを決めました。今まで実践しているのもありますが、改めて表します。

　土木学会年次大会では、
①コンクリート分野については、現在の自分のテーマに固執せずに、広く情報収集をする。
②コンクリート分野以外については、少なくともセッションのタイトルは目を通す。講演タイトルまでは読まなくてもよい。
③１～５分野は、土木教室内で多少は情報収集できていると思うので、それができていない６分野以降は気にかけておく。

　専門馬鹿にならないように、アンテナを張っておくことが結果として自分の研究分野を相対視できると思います。関連して、土木学会誌も、最近斜め読みが激しく、自分に関連したことしか読まなくなっているので危ないです。そのマインドで読むようにします。

2008年9月16日(火)　気象分野の最前線
　この夏は、局地的豪雨が多かったのが印象的です。先日の土木学会コンクリートカヌー大会に参加して感心したことは、昼頃豪雨が降ったものの、大会事務局が何らかの方法で気象情報にアクセスしており、「あと30分で雨雲は去るので、その後大会を再開する」とのアナウンスがあり、まさにそのとおりになったこと。気象関連では常識なのかもしれませんが、それを知らなかった私には非常に新鮮でした。　今年の初めに、某コンクリート技術者から、リアルタイムの天気を見るなら東京電力のサイトがよいというのは聞いており、たまにアクセスしていましたが、最近、職場の同僚から、もっと詳しい気象レーダーのサイトがあることをお聞きしました。備忘録として、記載しておきます。

　・東京電力　雨量・雷観測情報　http://thunder.tepco.co.jp/
　・東京アメッシュ　http://tokyo-ame.jwa.or.jp/
　・レインアイよこはま　http://www.city.yokohama.jp/cgi/bousai/wwwroot/yokohama1/sewer_radar.html
　・日本気象協会　神奈川の雨雲の動き　http://tenki.jp/rader/pref-17.html

2008年9月16日(火)　長期出張からの帰宅
　9月10日からの4泊5日の出張が終わりました。期間が長かったことと、本州最北端の大間岬という空間的な移動距離の長さの両方で疲れました。整理できていないので、日記の掲載は後日になると思いますが、幾つかの項目のみ。
　　・土木学会の参加（セッション、研究討論会、東北大学キャンパスを訪れて）
　　・松島での委員会合同ナイトセッション
　　・松島近郊での土木遺産の見学（現地で企画）
　　・青森での大間鉄道のアーチ橋の現場調査
　　・初めて訪れた青森県
　　・昨日の研究室送別会
　こうやって後から書くようになると、日記とはいえないかもしれませんが、試行錯誤中のためご容赦を。

2008年9月9日(火)　学会参加の下準備
　明日から仙台で土木学会年次大会、委員会、引き続き青森での調査があり4泊5日の強行軍です。スーツとヘルメット、プロジェクターを全て持っていくのは大変なので、宅急便を併用します。
　土木学会は発表は無く聴講のみですが、今回は現時点（20時）で事前勉強や当日の備えは出来ていません。時間が無かったという言い訳はしないようにしており、時間を作らなかったというのが本質です。最近のスケジュールの中に自分で価値を見出してスケジューリングしてこなかったことに尽きます。群馬大学半井先生ブログでは、土木学会の予習を学生と一緒に分担して行っていると書かれており、そのマインドだけでも見習う必要があります。モバイルPCを買ってもらったため、どこでもCD-ROMは参照できる、とちょっと浮かれていたと思います。少なくとも新幹線で予習をします。
　なお、青森県には今回生まれて初めて訪れます。少なくとも下調べをして、後悔のないようにしよう。

2008年9月8日(月)　公開日記の開始
　公開日記を開始したのは、もちろん細田先生を意識しています。今までは、非公開日記として書いていたのですが、毎日は続かずに（それ自身はそれでいいと思っていました）、たまに備忘録としてや、特に印象に残ったものを書いていました。しかし、細田ブログに載っていた、群馬大学半井先生による半井ブログを読んだことが背中を押すきっかけとなりました。それについては別の機会に。
　日記を書くこと、そして公開することの目的ですが、①自分の日記を書き自分に役立てること（考えを整理することや、備忘録として）、②外部の人に公開し林の考えていることを伝えること、③公開することにより自分にプレッシャーを与え継続させること、があります。現時点では、①を満たすために③の方法を取った、という面が大きいです。現時点では、細田先生のようなメッセージ性は少ないかもしれませんが、書いているうちに増えてくるかもしれません。真似するつもりはなく、自分にできる方法で行っていきたいと思います。
　私自身のことですが、研究室のスタッフとして研究・教育を行うこと、外部の委員会等に参加して貢献や自己研鑽を行うことは職務内容に含まれてますが、一番大事なことは、現在の研究を取りまとめて（足りないところを追加して）、早急に博士論文として纏め上げること。既に遅れているのは、周囲の方に指摘されているとおりでありますが、それをうまく廻していくためには、こつこつと継続的に取り組むしかありません（ただし、方向や内容も大事）。１つのペースメーカーとして、この日記を役立てたいと思います。
　物事を構造的に見ることは必要だと思っていますが、構造的に見るためには、１つ１つのトピックをピックアップすることや、さらにそれについて考えなければなりません。そのためのツールとして日記は有効だと実感しました。日記の効用について耳にしたのは卒業式後の謝恩会で合田良実先生のスピーチだったと思います。1999年3月だから、9年半前。その時は自分のことだとは考えず、自ら日記の大事さを実感したのは数年前で、さらに実行できたのはそれから数年後にあたる今日なのです。

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