林和彦の公開日記
2008年10月31日(金)　見学会参加／東大コンプレックス
　土木工学教室主催の見学会に参加した。私自身、半年振りになる参加だ。教員の目から見て、今回は（も）非常に面白かった。ボートをチャーターしての隅田川の橋梁見学に始まり、お台場での東京都職員の方のレクチャーの後、プロムナードを歩き、懇親会後、20時過ぎからレインボーブリッジを歩いて渡り、夜景と橋の巨大さを体験した。
　62名の参加者のうち、留学生が14名というのはインターナショナルな見学会で、お互いに良い刺激になったのではないか。最後のレインボーブリッジまでは20名強残っており、半数ほどは留学生であった。今まで個人的にはお台場を訪れたことは少ないが、これまでは観光施設にしか目が行かなかった。こうやって、産業との関わりなど全体像を知ることが出来たのは、コンクリート分野の見学会では得られない体験だ。ちなみに、お台場のレクチャーは、青海フロンティアビル20階「東京みなと館」で行われた。一般の人も入ることはでき、少額の入場料で見学できるので、マニアックであるが地方からの友人を案内する時に使えるかもしれない。
　さて、懇親会で学部学生と話をしたのだが、『細田イズムは共感する、でも東大コンプレックスが抜けない』という話もちょっと耳にした。ちなみに、外部から読まれている人に解説すると、東大コンプレックスとは、『横浜国大に昔からある雰囲気で、そこそこの学力や社会的評価があって、そこに満足して、それを突き抜けるようなところは躊躇するような雰囲気』と言えようか。よく言えば上品、悪く言えば仲間意識。対象が必ずしも東大を指すものではないが、良い例が東大である。東大コンプレックスは東大卒の先生が言ってもなかなか抜け出せないかもしれない。私の思う所を話したが、横浜国大卒の教員として別の角度からアプローチできるのは、強みとして活かしたいと改めて感じた。

2008年10月31日(金)　白い冬の風物詩
　冬が近づいたなと感じるものがある。大学の西門のブロック塀は、寒い朝には写真のような白華（エフロレッセンス）が生じる。気温の高い夏には一切出ない。これを見て、冬がやってきたなと毎年感じている。1週間ほど前から目立ってきたが、今朝は綿毛が生えたように、ふわふわしたものがくっついていた。日中、気温が高くなったら薄くなるようだ。雨で流されるとさらに薄くなり、朝になったら成長している。その繰返しだ。
　高さ２ｍほどの塀である。白華が生じるには水の供給が必要だが、どこからもたらされているのかなと考えた。白華は決まって下のほうしか出ない。擁壁の役割も果たしているので、背面は高さ１ｍくらい土に覆われ、水がしみてくるのだろう。
　　

2008年10月30日(木)　環境整備
　実験棟前の屋外に展示（ある時期を過ぎたら事実上放置だった）してあった柱供試体を撤去し（重量にして20トン程度）、その跡地を土木工学教室の技術職員の原山さんに草刈りをしてもらった。１日かけて見違えるほど綺麗にしていただき、研究室一同感謝しています。今まで鬱蒼としていた周辺が開けて、すっきりした。今後、屋外に置いてある骨材バケツの整理も一気に進むことだろう。
　同時に私の部屋の前で廊下を占拠していたダンボールも、少しだけ片付け、３階の廊下が見通せるようになった。３階の住人の皆様、今まで申し訳ありません。殆どは右から左に移動しただけで恐縮ではあるが、とりあえず整理に手をつけたということで後は継続あるのみ。動き始めることの大事さは改めて言うまでもないが、ちょっとケースが異なるが、宮崎大学の尾上助教が「まず文章を書いてみる」ことの大切さをわかりやすくまとめている（2008年10月27日やそれ以前の日記）。
　ダンボール１つ分、退官した先生が、前任校で昔に退官した先生から譲り受けた昭和30～40年代の書籍があり、それもざっと見てみた。コンクリート系が20冊（山田順治氏執筆の教科書も！）、河川と土質系が合わせて20冊程度だ。その中で、古い土木学会コンクリート標準示方書が4冊ほど見つかった。今ちょうど示方書に関連する勉強会のWGで探していたもので、資料が豊富な東大にもなかった本だ。数年前に、一度チェックしていたのだが、その時の私は不要だと思っていてただ先延ばしにしていたのが幸いした。当時だったら山田順治氏も知らず、捨てていたかもしれない。（さすがに、示方書を捨てることはないが）
　環境を整備することは大切だが、手を付けず怠っていたのは事実なので、これを機に少しずつでも行わねば。研究室内でも、教員がばらばらに持っていた書籍を、共通の部屋に置くように改善している最中なので、ちょうど良い。
　10年以上前の古いプロジェクターは、捨てる前に、本学のリサイクル掲示板「MOTTAINAI」に登録しておこう。反応はあるだろうか。

2008年10月29日(水)　メールでの返事待ち
　自分がマネジメントしている仕事について、メールを使って指示や提案を出し、とりあえず自分の手を離れる時がある。相手が返事を返してきて初めて次のステップに進む。こういったキャッチボールによるやり取りの時、相手からの返事が無いと仕事は止まる。そのような時は、他人はどのように管理しているのだろうか。１段階目のハードルである、相手がメールを読んでいる／いないは、「読んだら返事をくれ」と書いておけばよいが、その返事の有無を管理する仕事がさらに増える。
　受身の対処法としては、①頭に記憶しておく、②その仕事について思い出したときに、自動的に今の段階を思い出す、といったところか。その仕事自体を忘れないように、やることリストに入れておく。反対に、積極的に行うならば、③メールソフトで「返事待ちフォルダ」を作って入れておき、処理が終わった段階で消す、といったところか。そのフォルダを日々チェックする習慣にする。
　送信済みメールは、１つのフォルダにあり、膨大な量なので、日常それを見返すことは無理だ。
　私の現状では、遅れても余り致命的で無いものは①や②で対処。大事な仕事であれば、実際にフォルダは無いが③のように送信メールを受信トレイにコピーして色を変えるなどで強調して特別扱いして対処しているが、それもメールが溜まると追いやられてしまう。何かシステマティックに出来ないものか。とりあえず返事待ちフォルダを作ることか。
　誰か、参考になる方法があれば教えて下さい。受信トレイにメールを貯めない（溜まったメールが自動的に残った仕事になる）という方法も読んだ事があるが、結局は白黒付けがたいメールが溜まってしまい、収集がつかなくなる気がするが、一考の余地もあるかも。保留にしておく。

2008年10月29日(水)　論文検索
　論文検索方法を整理し、研究室で情報共有すること（備忘録）。
　関連して、土木学会論文集が、印刷版もなくなって完全なIDとパスワード制限のかかった電子版となったが、例えば他大学では研究室の学生はどのように閲覧しているのだろうか。企業では、研究者ならば購読料を払って論文集の購読を行っているだろうが、企業として不具合はなだろうか。タイトルは閲覧できるので、そこから判断すればいいのか。検索性はよくなったが、権利を持っていない人は本文をチラッと読めないことのデメリットは無いのか。
　他ではどうしているのか、今度の勉強会等で聞いてみようと思う。

2008年10月29日(水)　情報が足りないのでは
　一昨日のことを思い出した。某電車に乗り込む際、色々と考え事をしていていて、たまたま座席が１個空いていたので座った。座る直前に、「優先席付近では、携帯電話はお切り下さい」とガラスにシールが貼ってあったのを、無意識のうちに読んで「うんうん、でもここは優先席とは書いていないので、大丈夫」と思った。十数分後、目的地に近くなってきて、周囲の乗客が少なくなって来た時に、自分の座っている席がまさにその「優先席」であることに気づいた。
　他と比べてみるとシートの色がちょっと違う。つり革はオレンジがかった黄色だが、デザインとしてそんなに違和感がない。表示は、何度読んでも、書いてあるのは「優先席付近では、携帯電話はお切り下さい」。どこを探しても「ここが優先席です」とは書いていない。でも、ここはやはり「優先席」なのだろう。私のとっさの判断を、社会常識が無い、鈍感だ、と指摘する人もいるかも知れないが、別のところに気が向いていたため日本語の文字通り受け取ってしまい、ここが優先席とは感じなかったのは事実だ。
　ここで述べたいのは、「言葉の揚げ足を取って、優先席を表さないんだから、座ってやれ」という主張ではなく、単に「表示がわかりにくい」こと。たまたま、一般的注意に受け取ってしまった。昔は、色はもっとビビッドだった気がするが、溶け込んだ色になっているのは何故だろう。
　この日記では、特定のことに対して不備を指摘するのは控えたい。しかしこの件では「物事を相手に伝える際に、自分が夢中になりすぎて、相手に伝えるべき大事な情報がすっかり抜け落ちていることがないか注意せよ」と自分自身への警鐘と感じた、ことを強調したい。

2008年10月29日(水)　文章が長い
　下記の文章は長い。もっと的確に伝えられないだろうか。エッセイのようでもあるが、自省。

2008年10月28日(火)　土木の学生へカメラ購入のすすめ
　午前中は私用でお休みし、午後から来ている。会議、打合せが連続し、気づいたら夜になっていた。
　見学会に参加する３年生から、「レインボーブリッジ登りましょうよ」と声をかけられた。この日記の読者でしたか。そう言われたからには、行きます。皆で一緒に楽しみましょう。

　見学会に参加する学生、そうでなくても土木の学生へ。今、カメラを持っていなければ、買うことをお勧めします。コンパクトなデジカメが、2、3万円で買える時代です。自分の投資と思って買って下さい。よく言われるような、「写真に残さなくても、目で見て肌で感じることが大切」という考えはわかります。だったら両方やればいいのです。優れたものを見た時、記憶とともに記録に残しておくこともいいことだと思います。後で結局そう思うので、１年生の今から買っておくとよいでしょう。携帯カメラでもいいですが、現時点では機能的にどうしても劣ります。例えば、あなたの携帯はどのくらいの範囲（左右の角度）が映りますか？見学会や海外旅行に行った研究室の学生（4年生～修士）が、カメラを買っておくべきだったと後悔しているのを何回も聞いたこともあるのは、その証拠だと思っています。
　どしても撮らない理由があればそれはそうで構いません。ただし、どうせまた来るから写真は次の時でいいや、と軽く考えているのだったら、その考え自体を直すべき。写真云々以前に、今を大事にしていない証拠です。ぼーと見て、帰ってくるだけ。また来ると思っているようでは、次のチャンスは来ない。そもそも、次回来ても全く同じ条件とは限らない。時間帯、天気、季節も違うだろうし、都市はどんどん変化しています。なかったものが出来ている、あったものが壊されている。そもそも一番違うのは、自分自身の成長であり、同じものを見ても感じるものは違うのです。

　私はカメラ暦が長いので、土木という視点でコンパクトカメラを買う場合のアドバイスをします。一眼レフカメラは数字が異なる場合があるので、必要であれば直接私に問い合わせて下さい。まず、用語の説明から。ズームレンズは、実際のカメラのレンズの近くに例えば、4.6～17.3mmと印字されています。カタログ等には、35mm換算で28mm～105mmのように記述されています。35mm換算でという所に35以外の別の数字が入ることはまずありません。数字が小さいほうが広角側（広い範囲を撮る）で、数字が大きいほうが望遠側です。望遠側の数字を広角側の数字で割り算して、○倍ズーム（この場合105/28=3.8倍）と表現することもあります。ここでは、以下、35mm換算の数値について述べます。35mm換算前の本体に印字されている数字は、CCDサイズに依存するため直接比較できないのです。
　橋などの構造系が好きな人、都市計画や街並みが好きな人、色々あると思いますが、実はお勧めのカメラは共通しています。私は必ず、広角レンズをお勧めします。具体的には、数字が(35mm換算で)28mm～○○mmと書いてあるものを選びます。28という数字がキーポイントです。それが行き過ぎて最近一部では超広角として28よりも極端に小さい数字（19など）になっているものは、魚眼レンズのように大きく歪むので却下します。広角側が28mmのカメラはまだモデルも少ないので、デザインや価格が気に入らないという人がいるかもしれません。実際のところ、コンパクトカメラの大多数は、今のところ35mm～が主流です。その場合でも、百歩譲っても広角側が35mmを選ぶこと。35mmよりも大きい、37mm～や38mm～というものは、ズームになり過ぎです。絶対に買ってはいけません。土木云々という前に、部屋で数人の友達を撮る際にも全員入らないのです。
　逆に、ズーム側はどれだけ必要か、となると、「数字は気にするな」と答えます。遠くのものが大きく見えたほうがよい、という理由から数字が大きいのを選ぼうとしますが、実際に撮る際には殆ど使いません。望遠側は大きく撮れるに越したことは無いという程度ですが、広角側の選択を間違えると全体が入る／入らないという致命的な結果となります。

まとめ
１）土木を勉強する大学生にとってカメラを買うことは自分への投資であること。どうせ買うんだから、早めに買って使ったほうが良い。なんだかんだいって、１台目に買うものは絶対に不満が残ります。２台目からが本番だと言う人がいるように、土木の見識も広がる４年生や大学院生の時にカメラ２台目を迎えたほうがいいでしょう。
２）土木を撮るにはレンズは28mmを選ぶこと。体験したものでないとわからないので、文章で伝えるのは困難なのですが。例えば、ヨーロッパを旅行して街並みに感動ということになりますが、路地から建物を撮ろうとしても殆どの人のデジカメでは全体が入りません。路地なので後ろに下がれません。そこへ28mmレンズを持って行った人だけが笑うのです。その選択結果として、室内でスナップを撮る時にも違いが現れるので、結局土木以外の場面でも重宝します。

注釈：今回は、だいぶ断定的な書き方をしてしまいました。28mmだって入らない風景は入らないのですが、28mmと35mmさらに大きい数字、の三者では、明らかな描画範囲の差があるということを伝えたかったため、少々行き過ぎた表現になりました。厳密には不正確な記述もあるのは理解していますが、それを書き出すと本論の趣旨から外れるのであえてそうしています。携帯カメラの現状も、数年後には一変している可能性もあります。あくまでも現時点の話。以上を理解できると、○倍ズームという数字が相対的なものであり、殆ど意味の無いことだと気づくでしょう。カメラを買う時には、○倍ズームという数字に踊らされないように。

2008年10月27日(月)　技術士２次試験敗退・ものごとを伝えること
　今日は技術士２次試験の筆記試験の合格発表だったが、昨年に引き続き、落ちた。昨年度から制度が改正されて、筆記試験は経験論文とは切り離され、純粋に知識と応用能力を問う問題となっている。今年はそれなりにできたと手ごたえがあったのだが。何が足りなかったのか。知識の羅列にならないように、応用能力のアピールを論文中に書き込むこと、は配慮したつもりだが、焼付け刃だったのか。反省も必要だが、すぐに気持ちを切り替えて、今やるべきことに集中したい。ただし、今後に繋がることがあったので、再度頭を整理する。
　翌日郵送で届いた結果を見ると、コンクリートに関する専門問題はクリアしていて、「建設部門全般にわたる論理的考察力と課題解決能力を問う問題」が達しなかったことがわかった。今年のテーマは「アセットマネジメント」である。そもそもアセットマネジメント自体の勉強も不十分だったと認めるが（大方の予想は温暖化だった）、知識が少ない中でも、書き方はどうだったのか。出題意図通り、論理的考察力と課題解決能力をアピールできたのか？
　昨日、学部締切の科学研究費補助金の申請書を提出し終えた。申請書も、まさに審査員に対してのアピールである。少なくとも前年度（不採択）を上回る内容には仕上がったと思うが、その中で、やはり読み手の気持ちになって述べるという点で何度も書き直した。８月の技術士の試験では前年度単に知識の羅列で臨んだのを反省し改善していたので、科研申請ではその観点に立って改善した。つまりこの夏、技術士受験で学んだことが今回の科研申請には幾分か気持ちの上でプラスになった。技術士はダメだったが、それから３ヵ月分成長した今書いた科研は良い結果になることを祈る。
　さらに関連した事柄がある。学部３年生の演習系講義の１つのテーマに「ディベート演習」があり、さらにその中の１コマのみを私が来月担当する。準備のために、ディベートについての本を複数購入して現在読んでいる。相手に物事を理解してもらう（つまり、人にものを伝える）ための必要なスキルであることを改めて認識した。ディベートと試験答案・申請書は、言葉と文字で、形は異なるが、根底に流れる考えは同じだと思う。どう同じなのかは、全部読み終えた時点で整理したい。

　午後東京の会議に出席し、帰りに書店で「10/31の隅田川・お台場見学会」のための地形図を購入した。１万分の１は詳しすぎて船のスタートからゴールまで、地図が４枚くらいになってしまうことがわかり、却下。結局、２万５千分の１を２枚（図葉名は、東京首部と東京南部）とした。地形図は、今まで登山や地方の現場調査などで買ってきたので、今回の東京中心部のように、道路や建物がひしめいている地図は初めてだった。お台場やさらに沖の埋立地は日々変化しているだろうから、この時期に１枚買っておくと、10年後に見たら感慨ひとしおだろうか。

2008年10月26日(日)　懐中電灯
　前述のライトで思い出した。主に現場調査で使用するために、研究室では、昨年からライトを買い足している。その中で秀逸なのが、GENTOS　スーパーファイア　SF-303Xである。研究室で利用している文具通販のアスクルに載っていたのが出会ったきっかけだ。3980円という価格は、ホームセンターで売っているLEDライトと比べると一見高い気もするかもしれないが、下記の私の要求性能を全て満たしている。業務に使うことを考えると、性能が不十分であれば成果や業務効率にも響くだろう。
　消費電力と電球交換のメンテナンスを考えると、LEDライトがよいと思うが、世の中のものは明るさが千差万別であり、LEDライトでハズレを引いたことは何度もある。最近気づいたのは、5mm位の半透明な樹脂で覆われたLED（専門用語不明）が沢山入っているものよりも、一見電球には見えない平らなチップ（専門用語不明）が1個入っているものが断然明るいし、明るさだけでなく光の到達距離が断然違うようだ。ちなみに上述のライトは、夜間に20m位離れた構造物を照らし、よく見えた。繰り出されるその光量に、その場にいた人は皆驚いていた。当初、3Wという電力が大きいのか小さいのかわからなかったが、その後ネットでLEDライトで探しても、大きくても1W程度が多く、3Wというのはなかなか見つからなかった。
　現場調査、実験室で物を照らす（コンクリート打設時に鉄筋が込み入った型枠の中をチェック）、安全巡視に持参するという観点から、私がライトに求める要求性能は次のとおり。

１）明るさが明るいこと：現場では、トンネルの天井を見ることもあり、中距離を照らせる光量が必要。
２）光のムラが少ないこと：光の輪のようなものが見えると、汚れやひび割れを探しにくい。
３）光の色が白いこと：オレンジ色などをしていると、正確な色が推定しにくい。
４）小さすぎず、大きすぎず：携帯性が重要、ただし重さは重要ではない。映画に出てくる外国の警備員が持つようなものは、大きすぎ。後述の電池の入手という観点もある。
５）ストラップ穴があること：高所からモノを落とすと他人に危険。夜間に紛失したら、自分も危険。
６）堅牢であること：プラスチックのものは、複数の学生も使うと簡単に壊れる。頭の高さから床に落としても割れない程度は必要。

　研究室で使う電池駆動の機械は、なるべく単３と単４を使うものを選んでいる。かつて、昔ながらの単１×４本の強力ライトを使っていたが、そもそも重過ぎて現場には向かず、単１は単３に比べ単に容量が大きいだけで実際には研究室内で使用頻度は少ないので結局電池を無駄にしてしまうこと、の理由から廃止した。日常の消耗品の補充のことや、現場調査での予備電池の準備の観点から、なるべく電池の形式が揃ったほうがよい。単３を単２として使うアダプタがあるのは知っているが、仕組みが煩雑になると、２０名もいるメンバーに徹底させるの難しい。シンプルが良い。

　①良いものを使うこと（必ずしも価格に比例しない）、②仕組みはシンプルにすること、が私のポリシーである。安全衛生の考え方にも共通するところがある。「使う人」を意識した「道具の選び方」に関するバランス感覚は、人よりも長けていると思っている。それは、私の登山の経験が培われている。

2008年10月26日(日)　ブックライト
　やるべきことが終わっていないため、大学に来ている。これをなくす事が、私の重要課題。
　この日記も、ここ数日グッズ紹介に終始しているが、最近買ってよかったと思うものがあったので、あと１回だけ勘弁して欲しい。
　10数分の徒歩通勤では、電車の中など恒常的に読書をするシチュエーションがない。朝起きてや寝る前、など習慣付けてしまえばいいのだが、実際には、ばらばらである。色々と模索はしていて、１年位前から読書灯が欲しいなと思って探していた。そしたら先月、テレビでも紹介されていたので、買おうと決めた。
　買ったのはIDEA社のLEDブックライトFDL003-SYである。AMAZONのレビューを比較して選んだ。明るさもちょうどよく、クリップ部分で本に固定できるし、自立もする。使いやすい上に価格も手頃だ。実際に夜にこれを使って読んだのはまだ数回であるが、本を読む以外にも、夜中起きた時に点灯したりでなかなか便利である。枕元用に何でもライトとして置いておける存在だ。大きさは、携帯電話くらいで、厚さは携帯電話よりもちょっと分厚いが、携帯ほど重くない。
　１つ使おうと思っていることがある。出張帰りに横浜駅から自宅へ戻る際に、バスを利用している（電車もあるが混むので）。バス停が夜は薄暗いので、今まで待ち時間に本が読めなかった。これがあれば読めそうだ。そうすれば、なかなかバスが来なくても苦にならない。ただ、そうやって使うためには常時鞄に忍ばせておかねばならないので、面倒である。携帯電話に常時ライトの機能があれば、胸のポケットにさしておいて、本が読めるのにと思ったらライトがついていることを思い出した。今度試してみよう。
　１回だけものの試しに、そのライトを使って、大学からの帰宅中に本を読んでみたら失敗だった。時間を有効に使えないかと思っての模索だ。手元の本が照らされると、周りが見えなくなって、歩くのが非常に危険。さらに、揺れる本に目を合わせていると酔ってしまった。元々船酔いしやすいので、私には適さないことがわかった。やはり、通勤の往復は、ものを静かに考える時間に費やそう。もしくは、iPodを聴く。

2008年10月25日(土)　画像処理ソフト
　写真や、スキャナから取り込んだ画像を修正するソフトで、何を使うか。各人が好きなソフトを使えばよいが、研究室では、論文からスキャナで綺麗に取り込む方法もレクチャーしている（昨年開催し好評と自負、今年は未実施）ので、研究室学生には自信を持って紹介できるソフトを提示したいと思っている。
　個人ではPhotoshopを使っているが、各学生のPCにインストールするほどお金は無い。基本はフリーソフト。昨年の段階では、一長一短だった。最低限、明るさ変更、回転、サイズ変更ができる必要があるが、それ以上に論文から図表を読み込んだ後に綺麗に修正するには、レベル補正ができるのが望ましい。ガンマ補正でも幾らかは対処できるが、やはりヒストグラムを見ながら調整できるレベル補正が良い。
　最近発達しつつある、Paint.NETがお勧めだ。ただし、日本語化がまだ貧弱でところどころメニューに文字が表示されない不具合が残っていたのだが、今日たまたま調べたら、本家以外に日本語化ファイルを作っているグループがあることを知った。インストールして、そちらの日本語表示を選べば、ざっと見て不具合が解消されていた。
　11月中には、昨年のようなスキャナ読み取り講習会を開催します。

2008年10月25日(土)　乾電池の減りは目に見えないか
　オランダに留学中の小松君（ブログはこちら）が現地で電子辞書を壊してしまった、という記事を読んで思い出した。海外出張で困るのは、同じく電子辞書の電池が切れること。年1回切れるか切れないかというものなので、一見、運試しのようである。現地で、すぐに同じ電池が買える保証がない。そもそも、いつ電池が切れるかわからないし、毎回予備電池を持っていく労力は無駄に近い。
　しかし、実は運試しではない。電池の出力電圧をテスターで計ればよい。普通のアルカリ電池は新品購入時は1.5Vではなく、1.65Vくらいある。そこから徐々に減って行き、電子辞書が動かなくなる時は1.4Vくらいだったように記憶している。私の中で、1.5Vを上回っていたらＯＫ、1.5Vを下回ったら重要な出張で変えておく、という目安を作った。ただし、そもそも海外出張は頻繁にないので、このことを意識してから、実は試したことは無いのだが。 　電子辞書ではなく、現場調査にはこの原理を利用していて、必要に応じてテスターで電圧を測定している。重要な機器に使用する電池は、その日の作業開始前にある電圧以上になっておくようにしておけば、現場での交換作業を減らすことができる。ちなみに、比較的高い電圧を要求する機器（計測器、モーター等）で電池が止まっても、別の機械（リモコンや時計）では動くので、可能な限り再利用をするようにしている。
　電子辞書については、毎回電圧を計るのは実際のところ煩雑なので、現実的な対応をしている。電池交換の日付をメモしておくこと。例えば、1年近く経過していたら危ないな、という判断ができる。手持ちの電子辞書は電池フタが外れて紛失しやすかったので、テープで固定する必要があったが、そのテープ自体をテプラ（ラベルテープ）にして、そこに交換日を印刷してある。一石二鳥だ。

　テプラといえば、研究室の私のＰＣに常時テプラ（ラベルライター、実際に所有しているのはこれより１つ前のモデル）を接続している。ＰＣ接続のラベルライターは、大学助手（助教）にとって右腕になりうる存在といえる。特に実験室の管理では便利だ。研究室の学生にも、骨材バケツの識別として研究室ルールで貼らせているため、もう１台追加購入し共有ＰＣに接続し、自由に使わせている。ちょっと昔のイメージでは、ラベルライターは清書をする時にのみ使い、たまに使う時に棚の奥から出してきて、小さいキーボードで変換や段組みに苦労しながら、という印象を持っている方も多いと思う。キーボードから打ち、簡単にフォントが変更できるのは、革命である。思い立ったら1分で印刷できる。

2008年10月24日(金)　11月15日はコンクリート研ＯＢ・現役バーベキュー大会
　11月15日(土)は、横浜国立大学コンクリート研ＯＢ・現役バーベキュー大会を開催します。同日に、横浜国立大学でホームカミングデーが行われており、それと連動？しての開催となります。最近は秋ごろに同企画を行っていたので、せっかくならば同日に行おう、ということ今年はなりました。研究室からは、椿先生と私が参加し、細田先生は残念ながら出張のため不参加。さらに、池田尚治先生（本学名誉教授）が参加されます。そして、研究室学生とＯＢの方々。今年はさらに、研究室配属前の学部１～３年生にも呼びかけてみようとしています。（他研究室配属学生は、呼ぶと広がりすぎてややこしくなるので、しません）
　さしずめ、コンクリート研の学生・ＯＢと語る会、でしょうか。３年生を呼ぶと研究室配属の青田買いと揶揄されそうですが、きちんと実費の会費は徴収しますので、健全な会です。詳細は整理して、もう少し後に書きます。
　学生がＯＢに期待することの1つは、単にその会社について詳細を聞きたいというだけでなく、実際に社会で働くということはことはどういうことか、土木業界でも業種の違いは何か、といった漠然としたことを、ざっくばらんに聞けるということもあると思います。私もかつてそうでした。話す内容が就職だけだと寂しい気はしますが、理由のひとつにはなると思います。逆に、３年生も来ることがわかったら、ＯＢの参加が増えるかもしれません（半分冗談です）。

2008年10月24日(金)　ゼミ終了
　今日のゼミは、教員の都合からちょっと遅めに始まり、19時に終了。私、ポールさん、細田先生が発表。当たり前だが、私の発表に対して、椿先生、細田先生から、本質的な質問が投げかけられた。記憶の新しいうちに、再度ブラッシュアップすること。金曜の夜にゼミ発表は、緊張感のある１週間だった。これで終わりではないので、ひたすらやるしかない。

　20時現在の日記アクセスカウンタは、687。ちょうど1週間で、183。自分のアクセスを除くと、平均で1日20名。気が引き締まる。とりあえず、１日の読者数（ユニークアクセスは不明だが）がわかったので、とりあえず数えるのは終了する。

2008年10月23日(木)　コンクリート練混ぜ講習会
　午前中は学生と研究打合せ。
　昼は、学生２人と細田先生で、各自買ってきたパンや弁当を食べながら雑談。実はこういう機会は私にとって殆どなかったので新鮮である。今月開店した学内のパン屋さんに感謝。いや、機会は作ろうと思えば作れたので、やはり実行力不足だったに尽きる。前向きに考えれば、よいと思ったら実行・継続することだ。
　午後は、コンクリートの練混ぜのデモンストレーション。学生がコンクリートを練る際に、ついでに研究室の学生を集めて講習を行うものである。目的は大きく２つで、①ミキサーの安全講習を現場で行うことと、②コンクリートを練り混ぜる手順を一から順に体験してもらい、間違えの無いように共通認識を持っておくことである。
　前者は、これまでゼミでの安全教育の座学は毎年行っている（欠席者には個別説明実施）ものの、プラスアルファの現場講習は、参加者をきちんと記録するまでシステマティックではなかった。今回から、未受講学生がミキサーと圧縮試験機を使うことがないように、誰に教育をしたのかをより明確にするようにした。また、意識を高めてもらう目的で、受講後は、講習した安全の要点を遵守することに対して署名してもらった。
　後者のコンクリートの練り混ぜ方のデモについては、修士学生にリードしてもらった。失敗もあったが逆にそれがよい講習の材料になったように思う。骨材の表乾とは何かという基本的な話から、簡単には答えの出ない根本的な問題提起まで、扱う問題の奥深さがあり、面白かった。表面水率がマイナスは論外だがそんな時にはどうすればよいか、表面水率がプラスでも水の補正さえしておけばＯＫなのか、練り混ぜ時間はどうやって決めるか、捨てコンはコンクリートの配合がちょっと変わったらやり直さなければならないか、など。特に４年生にしてみれば、単にコンクリートを練るというだけでも、正解はないことは驚いたのではないか。対処の方法について、考え方・根拠をはっきりさせておけばよい、という細田先生の言葉は、それに尽きると思った。それを自信を持って出すことは難しいが、解決しなければならない。

2008年10月22日(水)　写真
　10/31の土木工学教室企画の隅田川・お台場見学会に際して、3年前の時の写真を探していたら、レインボーブリッジの写真が出てきた。船が真下を通った際に撮ったもので、写真の構図に芸は無いが、気に入っているので掲載する。レインボーブリッジは、歩いて渡れるというのは聞いたことがあるが、まだ実現していないので、歩いてみたい。
　

2008年10月22日(水)　久々に今日の出来事を記録
　今日は、主に３つのトピックがあった。
　１つは、第１回部屋長打合せ。研究室ではスペースの制約から、学生は３つの部屋に分かれている。掃除や部屋の環境整備について、リーダーとなる学生を選出してもらい、学生の視点でとりまとめをしてもらう。前学期は、今までのやり方では動かなかったということで、改善案を出してもらったところで終わった。今学期は、部屋長にそれを提示したところから始めた。こういうシステムのほうが、私としても楽だし、学生にとってみても細かいことを教員に指摘されるよりも、学生同士で解決して行ったほうがよい、と私は考える。些細なことだが、３人にはこの件についてリーダーシップを発揮して欲しいし、これを通じてマネジメント方法の一例を伝えたいと思っている。既に、担当学生から幾つか改善策が出てきつつあり、期待している。ちなみに、３名とも今期は４年生が担当している。

　２つは、研究打合せ。研究室内には物質移動抵抗性に関連するテーマが複数あるので、個別打合せではなく、横断的な観点からアイデアを出し合ってお互いに補完できないかという目的の集まりで、細田先生が召集をかけたものだ。２回目の今回は、前回の宿題であった私の研究に関して説明した。幾つか問題点や改善点を指摘されたものの、考えを整理するうえで役に立ったのは言うまでもない。議論は避けてはならない。自戒を込めて改めて記す。全体ゼミ以外で、関連するチームの情報が聞けるのは、お互い良い刺激にもなりそうだ。

　３つ目は、月例の実験室掃除当番に付き合って、作業を行ったこと。夏休みで修士２年の実験室係が交代した後の初めての月例掃除に当たることや、大掃除で積み残しになったコンクリートミキサーのメンテナンス作業も同時に行うためのサポートとして参加したものである。研究室には、かつていた専任の技術職員はいないため、実験棟のお守りは、我々教員が主体となって取り組まなければならないので、学生のサポートも借りて運営している。掃除や消耗品の点検等のルーチン化できる作業は、できる限りそうして、月ぎめで行うというシステムにして対応している。細かい改善をしながらも、今のところはそれなりに動いていると思っている。常に、チェックや改善、を行うことが必要だと、担当の学生には説明し続けている。私もたまに参加して、改善点を探している。また、私は、備品にシールを貼ったり、急がないけどちょっとした修理をする、学生から頼まれていた電気配線をする、などの作業が徐々に溜まってくるので、こういう時に、横で学生が掃除をしているのを感じながら、自分の作業を行うように心がけている。一石二鳥で時間短縮となる。以前は、実験棟に入り浸って作業をしていたが、必ずしも生産的でなかったので、その時間を極力減らすようにしている。
　１年前に半分趣味で取得した、第二種電気工事士は、この研究室で非常に役立っている。きちんと接地したアースのおかげで自分が助かったこともあるし、とにかく電気については一層注意を払うようになったのが良かった。電気について多少専門の観点から研究室全体を見ることができるようになったのは心強い。とはいえ、電気の素人には変わりないので、専門家に聞きながら謙虚にいきたい。

2008年10月21日(火)　隅田川・お台場見学会に向けて
　10/31の土木工学教室の見学会「隅田川・お台場」に参加する方向で調整中。３年半前にも、ほぼ同様の企画があり、参加している。その時は、準備に関しては他の先生に任せっきりだったため、殆ど準備せずに参加してしまった。今年は、参加するからには、色々と貢献したい。文献を整理したり、前回気になってそれ以後調べていないことを調べなおしたり。今週は余裕が無いので、来週に入ってから。
　最近買い換えた双眼鏡（オリンパス 8x21 DPCI）は持っていこう。倍率8倍というのは、望遠に物足りなさもあるが、手振れしにくいこと、視野が広いことでバランスが取れていると思っている。8倍の中で一番軽くて小さいのがこのサイズ(21mm)になる。個人的にはペンタックスの双眼鏡（タンクローRやタンクローQ）のデザインや構造が好きだが、機能面で差は無いと判断し、重量がちょっと軽いこと、安いことを加味して決定したものである。色はこれしかないので妥協した。今月のEディフェンスの見学会直前に、多分必要だとピンと来て急いで購入し、そのとおり活躍した。行ってみると、当該プロジェクトの委員の多くが双眼鏡を持って来ていたことは、現地では必要だということの証である。私の勘がぴったり当たって嬉しかった。なお、双眼鏡の購入は、大学入学以降4台目(紛失も含む)なので、普通の人から見ると多く買っている方だろう（1台も持っていない人が大多数と思う）。これまでの経験で前述の双眼鏡の選択ポイントは頭に入っている。現場見学や観光や舞台鑑賞にもちょうどよいチョイスだ思っている。実際に使ってみた今思えば、初め重視した35gの違い（オリンパス170gとペンタックス205gの差）は無視できると判断し、一番のお勧めは、眼鏡と裸眼の調整がワンタッチであったペンタックスタンクローRだ（タンクローQは店頭で見たことないが、スペックを見るとほぼ同じようだ）。
　あと、1万分の1地形図は購入が必要と判断。2万5千分の1でもいいかもしれないので、店頭で決める。調べるとネットショッピングもあることがわかった。但し、地図の名前のみで注文するのは厳しい。ちなみに、区別がつかない人のために解説すると、単なる地図ではなく、地形図である。今回は、平面的な位置を知る以外にも、隅田川・堤防がキーワードになるので、標高がわかるものじゃないといけない、ということ。
　日記というよりも、また趣味のようなネタになってしまった。道具へのこだわりといことでご容赦願いたい。コレクターの趣味は特に無いが、研ぎ澄まされた、頼りになる道具、というものに魅力を感じる。

　最後に話はそれるが、こだわりといえば、アウトドアでの愛用のナイフは、ビクトリノックス　ピクニッカーNLである。1992年に購入し、16年経った今でも現役で使っている。2年ほど前、家での非常持出袋専用にもう１本買おうと思った際にも、悩んだ末に、全く同じモデルを買った。ビクトリノックスのナイフは、数え切れないほど種類が出ているが、私がお勧めできるナイフは、この１モデルのみである。

2008年10月20日(月)　好きこそものの上手なれ
　半ば細田ブログ別荘への返事になるが、それをきっかけに、これまで断片化されていた考えが多少結びついたので、書く。
　研究を進めるには、日ごろからそのことについて考えて、考えて、考え抜いて、常に、それに対してアンテナを張り巡らせておく必要がある。このことは、いろんな人から聞いたことがあり、納得できる。ノーベル賞受賞の小柴教授が本学で講演した際も、強調していたように思う。
　現在、私が研究と教育以外で時間を費やしていることは、安全衛生である。学内で、その関係でも働いている。これは、昔から嫌いでないし、研究室の安全にもフィードバックできるし、安全衛生の考え方（リスク低減や失敗学）を学ぶことは、世の中の色々なことに応用できることがわかり、自分のためになると思っている。つまり、安全衛生に携わることは、はっきり言って好きなのである。そうすると、日ごろ、道を歩いていても、そのような観点でものを見てしまう。単に不具合や危険があるから駄目だという表面的な視点ではなく、どんなリスクが潜んでいるのか、その程度や頻度はどうなのか、自分だったらどうするか、など、無意識で考えている自分に気づく。
　そう考えると、私の前回の日記で「本質はどうやって得るのか」に対応して細田ブログ別荘に書いていた「常に本質が何かを考えるようにしている」というのと同じような状況であるな、と思った。
　他から言われて仕方なく嫌々で「本質を知りたい」という状況では、常にそれを継続するのは大変だと思うが、「他人が何を言おうが本質を知りたい」という状況、果てには「本質を知ることが大好きだ、常にそうありたい」というマインドになれば、継続はするだろう。そうなったら勝ちだ。現状では多少、外圧もないではないが、少なくとも１年以上前からは、「やっぱり、できる人は本質で議論している。自分もそうありたい。」という風に思っているわけで、自ら欲している状況にはなっているだろう。しばらくは意識して継続することか。やがてそれが、自分の内面から出てくるようになるだろう。

2008年10月17日(金)　質問
　今日は、とある学内委員会と研究室ゼミがあった。限られた時間に、全体を高めるような質問や発言をするのは、自分にとってまだまだ難しい。他人の発言や、発表を聞く時は、初級段階としては相手の言っている内容を理解すること、上級段階では理解すると同時に本質的な質問ができること。こんなことを書くのは学生の手前、非常に恥ずかしいのであるが、まだその領域には達していない（ゼミの私の発言を聞けば一目瞭然か）。とにかく、本質的な質問をしなければいけない、というマインドでいるのだが、気づいたら細かいことを聞いている時がある。
　ゼミの場合は、教育の場でもあるので、それが有益であれば、細かい指摘も必要ではあるが、適切な時期というのもあるだろう。後でメールで通知すればいいケースもあるかもしれない。
　質問力の鍛え方は、何だろう。質問力の本を読むことか？？全てテクニックに頼ろうという安易なことは思わないが、少なくとも「こういうモチベーションで」というような質問力の本質というのはあるかもしれない。最低限、現段階では全力集中すること、に尽きるか。だらだら言葉の表面だけ聞いても何も残らないのは明らか。そういえば、先日読んだ本では、物事を理解する（本の内容を理解する）のには、自分なりの仮説や切り口を持って、それと常に比較している、というのが紹介されていた。ここでの仮説は、専門分野云々ではなく、かなりの上位概念だった。それが有効かどうかわからないが、もう少し模索してみる。

　ゼミでは、タイムキーパーの役割もしているが、質問の途中で区切りにくい。それが蓄積されて終了時刻が遅くなる。それも改善が必要。ただし、まだ具体的な道筋は見えていない。

　20時現在で、アクセスカウンタの数字は504である。

2008年10月16日(木)　日記のスランプ？
　色々書きたいことはあるが、うまく整理がつかない。私自身の宿題にする。

　それとは別に、昨日の指摘に対して、幾つか具体的なフィードバックがあった。物事の進め方について、人による考え方の違いがあることを、再認識した。昨日は、自分の方法が正しいと思って行動したが、独善的でなかったか、それともこのケースでは自分が正しいのか？これも整理がついていないので、再考が必要。

2008年10月15日(水)　指摘をする方法
　教員をしていると、色々な場面で、色々な指摘をすることがある。口頭だったり、メールだったり、文書だったり、電話だったり。対象者は、研究室の学生だったり、他研究室の学生だったり、業者だったり、職員だったり、教員だったり。もちろん、時と場合によって使い分けているつもりだ。
　特に安全衛生となると、ある程度厳格にすべきであると思うが、相手が他研究室で、さらに実際に現場で実験をしている学生であると結構難しい。学生から見ると、他研究室の者でもあり、一方では大学側の人間でもある。その辺をわきまえて、対応したつもりだが、技術的な論点をちょっと早口でまくし立ててしまった気もして反省している。学生に対して、学生を責めているわけではないとは直接説明したが、意味が飲み込めなかったとしたら、たまったものではないだろう。
　こういう時は原点に返って、私は一体何がしたいのかの本質を見極め、それを達成することが目標であることを再認識する必要がある。そうすれば、その指摘方法が、果たして長期的に見て意味のあることかどうかは見えてくる。指摘することが目的になってはならない。
　ちなみに、その学生に対しては、後で改めて関連の資料を渡したり、ちょっとであるが補足説明を行ったので、多少は理解してもらえたのではないかと思う。
　他にも強く言いすぎたと思ったことが、今日は重なったので、反省。

　今日は、研究室ゼミがあった。後期での学生発表の１回目となる。英語も取り入れ、学生による質問もかなり促して何とか出てきた。議論をプラスの方向に持っていくような本質的な質問というのは非常に難しい。

2008年10月14日(火)　人が倒れている
　研究室の飲み会の後、10月に来日したばかりの留学生と駅前でちょっと立ち止まって話していたら、彼が「人が倒れている」という。「話している間、ずっと倒れていた」とも言った。私が見たら、10mほど先に誰かが倒れているのはわかった。酔っ払って単に寝ているのかな、と英語で説明しようと思ったが、その前に、誰も助けないのにそれを解説する私自身は一体何様なんだと我に返った。駅の真ん前で、人通りも多く、多少取り巻きができかけていた。だれも動こうとしていない状況が瞬時に理解できたので、私が駆け寄り、人命救助の第一段階として、肩をたたきながら「大丈夫ですか」と声をかけた瞬間、うつ伏せになっている顔の下に血が流れているのを発見。同時に、むにゃむにゃ言っているように聞こえて、意識はあると勝手にだが判断した（正しかったかどうかは残念ながら確証はない）。近くに交番があるのは知っていたので「警察を呼んで」と大声で叫ぼうとも思ったが、周りで取り巻きができていて何もしないのは明らかだったので、再度自分が走って10m先の交番に駆け込み通報して、後は警察に処置をバトンタッチして終了。ほんの1分間の出来事であった。
　正義感などというまとめはするつもりは更々ないが、何で誰も声をかけないの？誰かがやるだろうと考える人が、たとえ100人集まっても、何の力にもならない。

注釈：
　取り巻きができている時に、救急車を呼んで、とか、AEDを探してきて、と頼む際は、「誰かお願い」ではなく、必ず指をさして特定の人を見て、「あなたお願い」と頼むのが鉄則です。本学では、無料で年２回、横浜市の消防による、心肺蘇生講習会があり、講習内容は非常に有益です。立派な受講者カードも貰えてさらに嬉しい。研究室では、今年の学生は今のところ１名しか参加していないけれど、良い勉強になりますし、自信がつきますよ。驚いたのは、心肺蘇生の方法は年々進化しています。心臓を○回押して、人工呼吸を○回という組み合わせは、実は10年前とは同じではないのです。最近では、人工呼吸をせずに、心臓を押すだけ、という方法もあります。数年前に受けたことがある、という場合にはその方法が古い場合もあるため、是非再受講をお勧めします。
　なお、今回のケースでは、現場で、自分は心肺蘇生の講習を受けたことが無いから、と言い訳をしても、倒れている人を見過ごす理由にはならず、必要があれば大声で「心肺蘇生できる人、来て」と呼べばよい。少なくとも、警察か消防を呼んでおけば、見ているよりまし。ただし、感染症や、闘争などの事件には巻き込まれないようにしなければならないので、周囲の状況を的確に判断する必要があり、難しいのはよくわかります。

2008年10月14日(火)　学生との語らい
　今日の歓迎会は、PEDコース(半期毎に研究室を替わり、学ぶ)の学生と、留学生をそれぞれ1名研究室に迎え、横浜で飲んだ。その中で、少ない学生であるが、濃密な話ができて、非常に嬉しかった。感じたこと、考えたこと、考えさせられたことは幾つかトピックがあったが、整理のついたものから少しずつ書きたいと思っている。そのとき言ったことと重なるが、酔いがさめて再度整理した形ということで。

＜細かいことは短所か＞
　私は細かいことに気づくし、細かいことをきちっとやっていくことが全体を進める上で重要だと考えている。もちろん、そうでない場合もあることは知っているし、そうでないように動くこともできるようになったが、ベースとなる考え方はやっぱり「細かい」。小・中・高校はそういうことができると、器用だとか何かで、優等生と呼ばれることが多かったように思う。しかし、大学生や社会に出たすぐは、全体をきちんと捉える能力、今風に言うと空気を読む能力というか、全体のバランス感覚がある人が世の中で活躍していることが多いことに気づく。すると、とたんに、自分は駄目だ、それができないんだ、となり、凹んでしまったことがある。１度や２度ではない。
　逆に、細田先生は、バランス感覚の鬼と呼ぶべきか、全体の段取りや舵取りには優れており、細かいことについては、人に指示を与える等でうまく全体をこなしている。良い意味でのまぶしい存在である。ある時期、細田先生にも言われたことがあるし、自分もそう思うようになったのだが（両方あると思う）、細かいことに気づいてそれを実行するのは、私の長所であって、それは誰にも引けを取らないようにさらに延ばしつつ、同時に全体を見る能力もつければよいと。そう指摘されたり、思うようになってからは、気持ちが軽くなった。
　私は細田先生にはなれないし、細田先生も私にはなれない。互いに長所を伸ばしつつ、短所はできるだけ改善し、駄目なら得意な人に協力してもらい補う。そんな当たり前のようなことも、実感して実行できるようになるまでには非常に時間がかかった。
　似たようなことで学生時代に悩むことは大事だが、色々な経験でそれを解決した／解決しつつある私は、その経験を学生・後輩に伝えていくことができるはずだと思う。

　たまたまその日の帰りの電車で読んだ相模鉄道の無料冊子の中に、画家の話があった。小さい時に1人だけ写実的な絵を書いたけど先生に無視されて、夏休みの工作で立派なものを作ったら「大人がやったんでしょ」と言われたことがショックで、自分自身が信じられなくなった時期があった、というのを読んで、少しオーバーラップした。（←これについては曖昧な記憶で書いているので後でアップデート）

2008年10月14日(火)　議論の断裂と解消
　朝からある打合せ（学生とではない）をしており、その中で、私が譲れないところで対立してしまった。○○することの価値は何か、時間をかける意味はあるのか、と。メンバーで○○することの目的を黒板に列挙し、それぞれについて、どういう意味があるのかを吟味した。打合せの予定終了時刻は過ぎていたが、メンバーがヒートアップしてきたので、１時間ほど休憩を挟み、再度残り１時間だけ延長することを約束して、一度解散した。
　落ち着いて考えると、なぜ私がそこまでこだわるのかは、①目的と時間を費やした末の効果が妥当かという正論も半分はあったが、②残り半分はその内容であれば自分は参加する時間を割くことができない、という２種類あることを自分自身で再確認した。
　中断後の打合せでは、参加者がそれぞれの出方を伺っていたようであるが、冒頭で私の立場を話した。これまでは①の正論しか言っていなかったが、②の考えもありることを正直に話した。その結果、私が○○には直接参加せず、その代わり別の形で、その集まりに貢献することにして、○○自体は実施することで話が収束した。そもそも①の理由での反対は、絶対にやるべきではないという白黒の決着が着いたものではなく、もうどちらが正しい／正しくないの世界ではなく、やってみるのもアリ、やらない選択肢もアリ、という感じであったように思う。その中で正論だけを吐いて事前にもっと検討すべきだというのは、ある時期を過ぎると建設的ではなかった。実際には、②のことを隠していたことになる。
　結果として、比較的全員が納得できる形で議論は収束したと思う。
　いろんな交渉事では、妥協案の切り札を先に見せたくない、というのはあると思うが、利害関係が余りないようなところでは、必要に応じて適切な時に、条件をテーブルに出し合えば、自然と解が出てくることはあるように思う。それを、情報を隠して、正論だけを言うと議論が変な方向に向かうこともある。

　本日記は、契約や秘密の約束の暴露のように受け取られる人もいるかもしれませんが、そのようには該当しないため、記しています。もちろんそのようなことに該当すれば、日記には匂わすことは一切書きません。

2008年10月13日(月)　復習
　先週の安全教育は、力を入れたつもりであるが、急いでいて最終的な推敲が終わっていなかったのもあり、英訳も完了していなかったので、理解してもらえたか多少心残りであった。その後、休日の夜を使って、復習ということで、スライドの再構築と英訳の続行を試みた。どんなことにも見直すことは大切で、終わって記憶に新しいときにやるのがやっぱり良い。本当の直後だと、興奮しているので、その晩や、１日置いたくらいがちょうどよいか？
　今、得意な分野だからすぐに復習ができているのであって、今後、不得意なことや、後回しにしていることにもそれを実行できるようになりたい。

　本日記が、２ヶ月目に突入して、1ページが長くなり見づらくなってきていたので、外観を再構築した。

2008年10月10日(金)　研究室の安全の日に安全教育ゼミ
　今日10月10日は、2年前の同日に起こした水漏れ事故を忘れないために、研究室の「安全の日」と私は勝手に呼んでいる。たまたま、今日は後期第１回ゼミを開催した。メインは、安全教育である。
　私が、昨年作ったスライドを加筆して発表した。内容は、次のとおり。
　　－事故・失敗の例
　　－安全の基本的な考え方
　　－事故・失敗の教訓と改善策
　　－環境改善の取組み事例
　　－事故・失敗を起こさないために
　　－まとめ
　私は、学生時代から今に至るまでの自分で見聞きした事故の経験、その後独学による知識化、衛生管理者としての実務と勉強、畑村洋一郎先生の失敗学の考え方、という順で、私の中の安全関係の基礎・蓄積ができている（もちろん進行形）と認識している。それを、研究室に必要な形で伝えたい、吸収してもらいたいと思っている。
　ゼミでは、まず研究室や本学で経験してきた事故や失敗事例を挙げた。事故例を挙げるにあたり、この事故はこう対処すべきだった、という個別の話は今日の段階では行わないように心がけた。何の予備知識もないと、単なる対処法の暗記になってしまうためで、そういうものは身につかない。今日教えたかったのは、事故・失敗に対する基本的な考え方、それらを防ぐための基本的な考え方である。これさえきっちり身に着けておけば、事例も覚えやすくなるし、その基本思考は安全以外にも適用でき、研究室を出ても役に立つと信じている。
　最後に筆記テストをした。上記の講習の内容が出ると思っていたと思うが、設問は上記に全く触れなかった。①火事を発見した時に何をすべきか、②火事が誤報だった時に何をすべきか、②教員３名の電話番号を書け（携帯電話参照ＯＫ）等とした。前期ゼミでは別の形で教育を行っているが、予想通り頭（または携帯電話のメモリ）に入っていない。また、何度となく、非常時のために教員の電話番号は携帯電話に登録しとけと言ってきたが、実際に実行した学生も、そうでない人もいた。この際には、絶対覚えるべきこと、暗記する必要はないがどこに行けばそれが書いてあるかという「どこ」を頭に叩き込むこと、の２種類があることも強調した。
　今日は、60枚のスライドを通しで話して60分かかった。内容の見直しや、分割を検討したい。スライドの初めのほうは英語も併記したが、後半はまだ完了していないため、それも継続作業が必要。話し方もこれでいいのか。なお、後期では今後も継続的に、テーマを絞ってゼミの冒頭で短く安全教育を実施したいと思っている。長く１回やるよりも、短くたくさんやったほうがよい。継続は力なり。

2008年10月9日(木)　気づいたら１ヶ月
　日記を書き始めて、昨日で１ヶ月続いたことになる。些細なことであるが、書いた文章が増えていくことは嬉しい。イベントがあれば、それについて何か書けばよいという甘えもあるのは確かで、そうでない日は、今日（昨日）は何があり、何を考えて記録すべきか、を短時間で考えて実行するは結構難しい。それに慣れるまでは、まだ到達できていない。単なる行動記録になるかもしれない。まだまだ葛藤の最中である。
　夜、9月末で退職した教員の送別会があった。彼から色々な考え方、人との接し方を学んだと思う。別れるのはつらいが、そういう方々が、日本各地さらには世界に広がり活躍していき、離れていても何かの時にお互いに頼れるような存在になれるとしたらすばらしいなと素直に思っている。私もそのような存在感のある人物になりたい。

　文字が小さくて色が薄くて見づらかったので、直しました。編集ソフトでスタイルシートの解除がわからず、１ヶ月もかかりましたが、何とか解決。

2008年10月8日(水)　群馬大学桐生キャンパスで打合せ
　群馬大学で打合せがあった。土木のある桐生までは、行きは慣れていないこともあり片道3時間半かかり大変だった。改めて横浜国大の立地の良さを感じた。単に良かった／悪かったの話ではなく、東京で開催される打合せには、地方大学は明らかに空間移動のハンディがあるのは確かで、他大学の先生方はそれをどのように克服されているのか、対処されているのか、ということを考えた。翻って、横浜国大は東京都内の人からは遠いと言われるものの、地方大学としては近いのは明らかで、そのような恵まれた土地にいて自分自身活躍できているだろうかというのは自省させられる。
　その打合せは、若手が担当しているWGの会議で、比較的フランクに議論ができたのはよかったと思う。自分の担当部分については、担当である自分自身の頭の整理ができていないことがわかり、恥ずかしかったが、気づけたことは素直に喜んでいる。また、素朴な質問にもうまく説明できないということは、本当はまだわかっていないという証拠だ。よい刺激を受けて帰路に着き、帰りの電車の中でも頭は冴えて、別の仕事であるが作業がはかどった。

2008年10月7日(火)　データロガー講習会とその復習
　ひずみ等を計測するデータロガーの使用方法の講習会を開催した。学生５名と細田先生が参加した。取扱説明書を読んだだけではわからないような、研究室にどういうロガーがあってどう使い分けるのか等の全体像のことと、ここだけは押えるべき点、を講習したつもりである。口頭だけでは絶対に伝わらないことはわかっていたので、伝えたいことは資料にして準備した。ただし機器の操作方法についての一部分については、時間が無いこともあって白紙とし、講習会終了後に、参加した学生に当時のメモを参考に作ってもらった。その際、まず１人が書き、残りの４人が順番に加筆修正していく方法をとらせてみた。最終的に私が責任を持って修正し完成する。私は時間短縮になるし、学生も強制的に復習するきっかけになるので、双方にメリットはあると思う。最終的にその目標は達成できるかどうか（執筆作業ができるかではなく、時間の短縮と、学生の理解を高めることに寄与するか）はわからないが、今のところ執筆者は３人目に突入しているようである。

2008年10月6日(月)　本の読み方・情報収集
　先日書店で衝動買いした「ビジネスマンのための「読書力」養成講座(小宮一慶著、ディスカバー携書)」を読み終えた。ちょっと前の日記で、書店では本を探さないと書いたのはちょっと間違いで、普段の行動範囲には書店は無く、たまに書店を訪れると、店頭に並んでいるビジネス向けの本（リーダーシップ、経済など）の新刊の平積みコーナーはざっと見ている。あと、新書もたまに探してはいる。
　胡散臭いなと思って手に取ると、結構まともなことを書いているように思えたので、買ってしまった。一般に言われている「速読」の手法はよくわからないが、著者のいう「速読」は単に情報をインプットするために使うもので、全てに適用するべきものではなく、「通読（レベル１と２がある）、熟読、重読」を使い分けるべきとあり、なるほどと思った。「本は何冊読んだよりも、どれだけ頭に入ったかが重要」というのは、はっとさせられる。著者の専門とする経済、会計、経営論、以外にも、マネジメント、生き方を学ぶ歴史書、など分野別にこれを読むのをお勧めするというリストとその要約は、非常にためになった。私が情報がゼロの状態から、それらの本に巡り合うまでには10年以上かかりそうだから、そういうのを手がかりによい本を読みたいと思っている。また読書リストが増えた。
　何を読めばいいのかともやもやと悩んでいた大学の1、2年生だったろうか、ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論、立花隆著(当時は単行本)を買った。しかし、理解できず、面白くなく、最後まで読んでいない。それは、自分がまだ読書へのモチベーションとそれとリンク付ける知識が無かったのだと思う。もし今読むと、吸収できること、感じることは当時と全く違うと思う。新聞か何かで見た、立花隆が本に関して書いた本が気になっていたのを思い出した。ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊。さらに検索したら「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」もあった。これもリストに加える。

2008年10月6日(月)　ロールモデル
　今日の研究室スタッフミーティングでは、遅れていたゼミの日程決定について、ほぼ確定した。昨年もそうだったが、今年も日程の確定が遅れてしまった。そもそも、今年は私が第一案を出すまでが遅かったから全体が遅れてしまっている。第一案を出す前の動き始めは早かったので、途中、ケアしないまま時間が過ぎたのが原因。研究室の皆さんごめんなさい。

　夕方から土木工学教室の全体バーベキューが行われた。150名くらいはいただろうか。学部生、修士、博士、教職員と全員が集うイベントである。今年が４回目である。開始の1、2年は、100名を超えるバーベキューというのは、教員も経験が無かったため大変だったが、今は経験も積まれてハード的にはうまくいっている感じである。ハードは揃ったので、後は、参加者が「自分の殻を打ち破って、ごちゃ混ぜの交流」を楽しめるかが問われると思う。
　私も、今日は積極的に学生に声をかけようと心がけた。１年生ともいくらか話をしたが、共通して、現時点で自分の将来像が見えづらいことを不安に思っているようであった。今、巷ではよく言われている「ロールモデル」が見えない、ということだと理解した。どんな分野でも、目標となる人物や生き方が必要だと思う。教員側としては、少なくとも「どういった情報源にあたればそのヒントになるか」を情報発信していくことが必要だと思った。学生も、少なくとも提示される情報源には、貪欲にあたっていくことが必要と思う。何も恥ずかしいことはない。逆に、「お膳立てされて、さあどうぞ」ということを望んでいるとしたら幻想であり、今の世の中、殆どないだろう。横浜国大の土木工学教室は、積極的に情報提供をしていくし、現行で不具合があればフットワークを軽く改善していく、という組織だと私は感じているし、今後ともそうあるべきだと思っている。現時点で、私自身は100%それが提供できていないと思うが、そうあるべきだと思って努力したい。

2008年10月5日(日)　大学でどんぐり
　もうすぐ2歳になる娘との散歩で、どんぐりを拾おうと近くの公園に行ったがどんぐりが見つからず、さらに5分歩いて、確実にある大学まで来てしまった。色々彷徨った挙句、野外中央広場と中央図書館の近辺で見つけた。地面に落ちたものは、濡れたり虫が食ったりしていたので、主に、道路に落ちたものを拾った。結構車に轢かれて割れているものがあったので、そうなる前に救ったという感じだろうか。むしろ私のほうが夢中になり、1kg程度は拾ったと思う（後日数えたら300個）。どんぐりは、今のところ植えて木にするつもりはないが、どうしても宮脇先生のことを思い出してしまう。
　宮脇先生は、拾った落ち葉や剪定した枝は、基本的にはゴミにせず、再度森に入れてやがて分解されて栄養になるという。大学の南門を入ったすぐの鬱蒼とした林は、下草の手入れもせずに汚いなぁと、学生時代から今に至るまで思っていたら、それも宮脇理論の実践であった。実際に、生態学研究室によって作られた林であるとの看板が立っており、その後も定点観測が行われているとのことであった。知らずに判断していたのは恥ずかしい。
　研究室では実験棟前の落ち葉拾いは、偶然にも前から木の根元に戻すように言っていたつもりだが、風が吹くと再度散らかることもあった。また、直接ビニール袋に入れて燃えるゴミに出している学生がいるのは気づいていた。この際、風で飛ばない近くの林の中に捨てるようにしたいと思った。

2008年10月4日(土)　歌舞伎と英語
　生まれて初めて歌舞伎を見た。平成中村座、仮名手本忠臣蔵の1,2,3,8,9段であった。全部で11段ある。今知られている忠臣蔵とは異なるもので、歌舞伎の古典だそうだ。考えたことは、以下の2つ。
　1つ目は言葉の問題。衣装、舞い、はすばらしい。しかし、長々としゃべる部分の言葉は、殆ど理解できない。テンポ良く言葉の掛け合いをするところは、理解できた。海外ではKABUKIが絶賛というのは、結局のところ英訳されたものとセットになっている、というのもあるのではないか。英訳の際には、英語圏の人にとってわかりにくい英語で訳されているということはないだろうから。ちょっと短絡的な論理であることは理解しているが、英語の勉強に近いものがあると思った。650円で、解説イヤホンがレンタルできるので、次回の機会があれば借りてみよう。
　2つ目は、これをきっかけに、歴史の勉強をしようとしていることに勢いがついた。恥ずかしながら、「忠臣蔵」のドラマや本を、生まれてこのかた見たことがない。よって、大まかなストーリー以外は知らない。見出すと面白いのだろうが、根からの時代劇苦手意識のためにきっかけがつかめないまま現在に至る。過去に、それを打破したくて見たくなっても、年末にならないと番組はやらないので叶わず。今だったら、本を読めばいいのだろうが。忠臣蔵は、日本人的な考え方が流れていたり、余りにもポピュラーな物語のため、日常生活でも、登場人物がたとえ話に出たり、未だに地域の対立があるという件は、大人の一般常識として知らないと恥ずかしいことだが、何となく逃げてきた。「仮名手本忠臣蔵」は、実名や実際の事件を扱ってはいけないという当時の時勢から、実名と時代を変えて作られた戯曲である。内容は、実際の歴史に即した「忠臣蔵」とは同じという。せっかくこちらの内容を知ったのだから、楽しみも２倍になるだろう。
　歴史の面白さというのは、１つ１つの出来事が単独ではなく、何かしらリンクしており、それに気づきながら知識を深め、広めていくというところにあるんだな、と今更ながら感じている。

2008年10月3日(金)　中央図書館で科研費説明会
　科学研究費補助金の申請のための説明会に参加した。毎年行われているが、今年は前年度との変更点や、不正に関する注意点であった。書類が完全に電子化されるのはありがたい。
　中央図書館のメディアホールで行われたので、久々に図書館の中をぶらぶらしてみた。いつもは理工系図書館だけなので新鮮である。明日、生まれて初めてでそれまで個人的には全く興味が無かったが、明日、歌舞伎を見に行くことになっている。演目についての解説本があったので借りた。せっかく見るのだから、勉強していきたい。これも、自己改革の現われ、というのは言い過ぎか。

　10月5日16時時点のアクセスカウンタが239である。細田先生がたまたま長期海外出張で細田本家ブログの更新が無いため、私の日記のことを記した部分がかなり上のほうに見え続けているから、アクセスがあるのか。細田先生帰国後どうなるか気になって、数字をメモしておく。ただ、特に数字自体を気にしていませんし、アクセス解析は今のところしません。

2008年10月2日(木)　実物大橋脚の破壊実験
　今日、兵庫県にある、Ｅディフェンスでの、橋脚の実物大振動実験を見学した。目の前で断落し部のせん断破壊を見た。すごい。大きな音を立てての破壊の後、しばらくの間周囲に飛び散ったコンクリートの粉が宙を舞うのを見て、13年前の神戸ではこうだったのか、と感慨深かった。私は関係者ではないし、詳細は、ホームページにも載っており、速報は公開されるということなので、ここでは省略する。
　施設と供試体はとてつもなく大きい。実際の破壊現象を見るという根本的ことも大切だと、改めて感じた。
　横浜国大卒の先輩で元助手の方がこの施設で働いているので、アポなしでご挨拶したところ、貴重な時間を割いて施設の案内をして下さり、感謝しています。

2008年10月2日(木)　学ぶことと教えること
　帰りの新幹線で書いている。
　「教育力(齋藤孝著,岩波新書)」を読み終えた。読み始めた理由は単純で、細田文庫にあって気になったから。細田ブログに、書評のようなコメントもあったかもしれない。実は齋藤先生の著書を読むのはこれが初めてであった。教育に関するマニュアル的な本かと思ったらそうではない。教育者はどうあべきかということも書かれているが、根本を流れるのは、人はどうやって成長していくのか、どういうことを学ぶべきか、そもそも教育を受ける価値は何か、ということが、整理された形で理解できた。
　私は大学時代まではあまり読書をする習慣がなかった。自分で面白いと思った本があったら読んだが、単発であった。今は大きく変わった。しかし、本屋に行って探すということはあまりしていない。というのは、読みたい本でいっぱいで、自分で開拓する余裕がないためである。開拓する能力がない、という裏返しでもあることは認識している。
　昔から、なぜか歴史が嫌いで特に時代劇や大河ドラマは苦手である。敬遠していつの間にか大人になってしまい、いまだにそうである。しかし、歴史を知りたいというマインドでいる。今の悩みは、歴史を学びたいけど、どんな本を読めばいいか、ということや、いろいろ読みたいものがあって時間がないが、とりあえず徐々に読んでいるという段階である。幾つかの時代と地域をピックアップし、少しずつ攻めている。今は、前から気になっていた「項羽と劉邦」。途中、宮脇先生の４冊が入ったので、しばらくお休みしていたが再開したい。
　昔からそうであるが、人が知っていることを知らないのは、自分が不安になる。もともと自分に自信がなかったため、知らないということが恥ずかしく、そういう自分がいやで、悪循環だった。コンプレックスがたまるだけで、それに対して努力をしてこなかったように思う。今は違う。あれも知りたい、これも知りたいという風に意識が変わってきた。
　この本１冊読んだ際、いろいろな本の題名が出てきた。何かしら引用するには、魅力があるはずだと思い、とりあえず全部読みたくなって、途中から手帳にメモをしながら読んでいたら、そのメモは20個くらいになっただろうか。読書リストに入れておこう。
　美しい日本の文学も必要、歴史の認識も必要、と書いたら、細田ブログみたいだと思われる方もいるだろう。別に、その手法を真似しているわけではないが、いろいろ考えるとやはりそう思い立った。ただ、トップリーダーの著書などを読むと、やはりいろいろな文化や歴史、芸術を知ることはリーダーとして人として必須のことだと多くの人が書いている、というのを何度も読んだことは影響を受けているとは思う。

2008年10月2日(木)　生態学そして学ぶということ
　行きの新幹線で書いている。
　先日紹介した「魂の森を行け」の１冊に加え、宮脇先生の著書３冊を読み終えた。面白かった。まずは、宮脇先生のメッセージが明確で、具体例が豊富である。なぜ、その土地の本来の木を植えることが必要なのか、いろんな角度から訴えてくる。
　私は土木技術者としての教育を受けてきた。都市計画の講義では、防火林として機能するといっても、単にそうなのかという程度で、実体験としてそれが本当に機能するのかどうかわからず、考えもしなかった。小さいときから聞かされてきた、森は人間が手入れしないと荒廃するといわれているのは戦後植林のために植えられた単一種の森についてであり、宮脇先生の提唱する自然本来の森とは異なること。つまり、作ろうと言っている森は、メンテナンスフリーで、台風にも地震にも強いこと。また、技術者は、自分の専門分野の勉強だけでなく、生態学をまず学んで生態系の本質、自然の多様性を学ぶべきと訴えている。
　横浜国大の土木では、数年前から、生態学の研究者と連携をとり、学部生は「エコロジー（生態学）」の講義を受けている。恥ずかしながら、私は助手、今は特別研究教員という立場で生態学の先生方との直接のつながりはなく、講義「エコロジー」の詳細も把握していないのだが、聞くところによると、土木の学生のその講義に対するモチベーションが低いという。私は、宮脇先生に関する４冊の本を読み、生態学の本質は何かということに非常に興味を持った。少なくとも土木とのつながりはあることは自信をもって言える。

　恥ずかしながら、学部時代から、どちらかというと構造系の分野が好きだったので、特に非常勤の先生方（当時）の講義、たとえば、上水道工学、河川水文学、地質学などは、自分自身で興味がないと思い込んでしまい、結局頭に入らなかった。そもそもその学問に対するモチベーションが低かったためだと今になって分析できる。実際、上記の３つは勉強しなかったことを後悔しており、時期が来たら再度勉強しようと考えている。土木技術者として知っておく必要があると今になって実感しているからだ。どんな分野も、必要があるから存在しているわけで、なぜそれが必要とされていて、何が本質の問題なのかということを学べるようになると良い。
　たとえば、報告会や講習会に参加すると、面白くないなと思うこともある。それは、発表者のレベルが低いためによるものと、自分が理解できていない、今の自分に関係ない、という理由に分類でき、後２者のほうが圧倒的に多い。そんなときはどうするか。自分が今面白いかどうかは別として、その分野が一体何が問題になっていて、何を伝えようとしているのか、ということを理解することにつとめることが必要と思う。それが自分の研究の役に立つかどうかという単一の尺度だけで聞くのは、自分の能力が低い現在では危険でありもったいないことだと、最近では思えるようになっている。前述の講義についてもそうだったなと、思っている。そもそも私の学生時代の姿勢が間違っていたのだ。
　宮脇先生について知りたいと思った際に、４冊の本を買ったのは、上記の経験も関係している。半分は、面白くないだろうなと思いながら、でも、「そこまで有名な宮脇先生とは何なのか」を理解したい！という思いがあったため、強制的に４冊程度読み、本質は何かをつかむようにしようと思ったのである。結局のところそんなに苦労しなくても、すっと頭に入ってくるメッセージであったため杞憂であったが。
　宮脇先生関連の書籍について最後にまとめる。最初に読んだ、「魂の森を行け　3000万本の木を植えた男」は、宮脇先生がどのような方で、どんな体験をして、どのように物事を考えるのかが、とてもわかりやすく紹介されている。家族を犠牲にしてまで研究に打ち込む姿は真似できないが、そこに流れる研究者のマインドは心が打たれた。最後に読んだ、「木を植えよ!」も、宮脇先生のメッセージが散りばめられていて、良い。地震、コンクリート、河川改修、ダム、道路など土木のキーワードもたくさん出てくる。細かい記述には専門家から見ると口を挟みたくなるところもあるが、全体を流れるメッセージには共感した。この２冊を読むことを土木の学生にお勧めする。他に読んだ２冊もタイトルを挙げると、「鎮守の森」と「いのちを守るドングリの森」である。

2008年10月1日(水)　失敗を防ぐ知恵
　先日水抜き掃除をした水槽の栓の準備ができたので、今日水を入れた。たっぷり容量があるので、蛇口をひねって１時間はかかるだろう。いつものタイマーをつけてまた見に来よう・・・・しかし、忘れていた。戻ってタイマーをつけることと、その結果、水道の蛇口をひねったこと自体を。
　幸い２時間後に、学生から「水が満杯になっていたので止めておきました」との報告があり、事なきを得た。あふれた水はそのまま下水に流れるので、資源を無駄遣いしたが、致命的な損失にはならなかった。明日は出張で不在なので、丸々２日以上流しっぱなしという自体は避けることができた。
　うっかりミスである。幾らその時に覚えていても、途中に別の作業をはさんだ瞬間、忘れてしまう。うっかりしないために、強制的にリマインダを作ることを怠った悪い例である。精神論で反省はせず、どうすべきだったかを具体的に反省する。反省点は、前から決めていた私の行動規範を忠実に守ること、それに尽きる。

林なりのうっかりミスを防ぐコツ
　①　「これは、うっかりが生じる作業なのだな」ということを認識するアンテナを張り巡らせる。
　②　うっかりが生じる作業であることを認識した瞬間、リマインダのシステムを考える。具体的には、メモをする（メモ自体を忘れるので、メモを見るようにする強制リマインダも同時に作る）、自然と強制的に気づくようにする（極端な話、その場にメガネを置いておくとか、そうすれば嫌でも気づく）。
　③　②を必ず先に実行してから、作業に取り掛かること。この順番を逆にすると、作業が終わった瞬間電話がかかってきたり、話しかけられたりすると忘れるのである。
　④　とっさの作業など、どうしてもリマインダができない場合には、空いている人間の機能のうちどれかを使う。一番いいのは、リマインダを作り終えるまで「忘れるな、忘れるな、忘れるな」と念仏のように唱え続ける。
（なお、これらは、個々の事柄はもしかして過去に読んだ文献などをヒントにしているかもしれないが、総体として自分で認識し実行してきた事柄である。）
　駐車場の事前清算機は、おつりが先に出て、駐車券がその後に出る。多分、おつりの取り忘れを防ぐために。その順番が良く練られているのである。電車の発券もそうでなかったか？そのような視点で世の中を見ると、結構考えて作られているのだなぁと感心することが多い。

　明日は、兵庫にある、E-ディフェンスで、実物大構造物の振動実験を見に行きます。

2008年10月1日(水)　専門分野
　 コンビニ開店で思うことは、工学部関係者（学生・教職員）でよく議論されることだが、なぜ工学部の西門近辺には大学外の食堂が少ないのか、ということだ。これだけの学生がいて、西門の付近に１人暮らしをしている学生もたくさんいるのに、コンビニ×2と弁当屋×1と、数件の食堂（定食×1、そば×1、すし×2、中華×1、焼肉×1が全て。数の上では多いように見えるが、学生が気軽に夕食を食べられる店は、うち3軒）しかない。数年前に比べると、コンビニは１件開店したが、少なくとも２件の食堂は閉店している。素人目に考えると、食堂があれば絶対儲かるのに、と思っていた。市場の原理で考えると、そういったところには必ずお店ができると思っていたのに、できない。これはどういうことか。あくまでも一般論であるが、現実的かは別として考えられる理由を挙げると、
１）情報の偏りで、店を開きたいと思う人たちが、西門近辺の状況を知らない。
２）西門近辺の土地は、新しいお店を開きにくい何か（既存店舗の圧力、土地を持っている人と経営者が同一など）がある。
など。
　とはいえ、そもそもの判断が間違っているのかもしれない。２軒目のコンビニの開店が食堂を追いやっているのか（もしそうなら、その前に数年間変わらなかった理由は？）、実は水面下では実際に食堂を設立しようと検討されているが、例えば長期休暇の際に売り上げが伸び悩む、実際学生はあまり利用しない、等の理由で、お店を経営することはやっぱり難しいという結論が出ているのか。誰か、その道の専門家がいらっしゃったら、工学部関係者を納得させる分析をいただけると、無駄なことを考えなくて済むので、よろしくお願いします。とはいえ、専門家だったらわかるという考えが甘いかもしれない。そうしたら、みんな成功しているはず。

　こういうことを考えるときに思うのは、どんな分野・業界でも、専門以外の人は、意外と知らないことが多いということである。土木分野やコンクリート分野にしてみても、世間一般で抱かれているイメージと、実際に携わっている人が考えているイメージは未だ隔たりがあるように思う。耐震偽装事件の際にも、偽装は論外として、建物の耐力の計算といっても色々な方法があり、それによって計算結果が多少は違う、ということ自体は、「物体をモデル化して計算する」という工学系の分野の方だったらごく当たり前のことであると思うが、一般の方々は1+1=2のように、ある建物が決まれば、耐力というものは1つの数値はピタッと出てくると考えられているように思う。なお、土木学会や、建設業界は、色々な方法で情報発信をだいぶ前から行っていることを補足しておく（効果はわからない）。
　改善するには、どうするかといえば、①自分の分野は他人にとっては所詮知らないことだらけということを認識する、②情報発信に心がける、③専門馬鹿にならないように自分の分野の位置づけを明確にする、④自分の分野以外の人とのつながりを大事にする・それについて書籍を読むなどで見識を広める、と言ったところか。一般論の結論になってしまったが、それを持続させることは結構大変で、今後も忘れないようにしたいと思っている。

2008年10月1日(水)　祝！学内にコンビニ開店
　今日、横浜国大生待望の、工学部の近くにコンビニと食堂施設がオープンした。今までは工学部の方は食堂が１軒だけで、閉店時刻も早かったので、朝7時から夜10時までのコンビニは大歓迎だ。所用で早めに大学に来たら、開店の10分前で、せっかくだから並んで1番乗りをと思ったら既に学生が4人並んでいた。私は1995年に入学して以来の待望の学内コンビニ開店で、正直言って嬉しい。おにぎりがまだ届いていなかったり、店員はまだぎこちなかったりしたが、素直に応援したい。

　進行中の話なので、関係者に迷惑がかかるといけないので、多少ぼかしておく。とある所に既存の建物の隣に新しい建物を建てている場所がある。コンクリートで舗装された床や階段は連続性が保たれている、はずであったが、２つの施設の境界を示す縁石が、一部コンクリートの地面から飛び出している事に気づいた。これは絶対に人がつまづくと思い、担当の部署にメールであるが一報を入れた。（道路に穴が開いていて直ちに転落の恐れがある、という状態であれば直ぐに守衛を呼んで対処するが、これは緊急性は無いと判断した。）このようなことは、自分には関係ないとか、誰かが気づくだろうとか、その敷地はそもそも管轄の○○部の話だ、と言っているようでは、何も改善されない。気づいた人が適切にフィードバックすることが大切である。
　さて、今回の件は、責任は誰かという話になると、敷地の境界の線であり、各種契約関係としてはその建物の持ち主には責任はないかもしれない。つまり、工事を請け負った会社としては、逆にその縁石を移動させることは、請負契約には含まれていないかもしれない。そもそも、最終的には所有者である大学が責任を負う。但し、工事関係者に限ったことはないが、計画段階から供用に至るまで、関わった全ての人達は、もし危険性に気づいていながらも自分は直接関係無いからと放置したとすれば、職業倫理はどうなのか、と考えてしまう。
　こういったことを報告することは、クレームと言うが、日本語でクレームと言うと「ゴネ得」という言葉に見られるとおり、ちょっとうさん臭いイメージがあるのは悲しい。不具合を適切にフィードバックすること、は人間社会を構成する上で必要な倫理に思っている。（クレームの定義や、倫理、という言葉の正確な使い方に慣れていないので、誤用があったらご指摘いただければと思います）
 林のホームページに戻る