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2010年9月30日（木） SONさん 今日は前期の最終日ということで、9月修了の学位授与式が行われる。研究室でも複数関連する学生や社会人がそれぞれ学位を受領した。SONさんが明日ベトナムに帰国するということで、夕方は軽い懇親会。本当にお疲れ様でした。彼とは、教員と学生という立場を超えて、同年代の研究者として、ライバルとして、今後も関わり続けたいし、そうなると確信している。 2010年9月29日（水） 主体性 自分が今の立場において、どのようなスタンスで、研究、教育、仕事に取り組むのか。できるできないは、今やるやらない、の積み重ねなので、結果は明白で「今やるしかない」。今できないのは、そういう訓練、行動を取ってこなかったことの結果にすぎない。 2010年9月28日（火） 341委員会 土木学会341委員会というフレッシュコンクリートの委員会のWG会議。8月の土木学会の8月の常任理事会で承認が下り、晴れて正規の委員として参加する。実際に入ってみてから、別の委員会で目指すところと、この委員会の目指すところがオーバーラップしているが、その境界部分は必ずしも十分に検討がなされていないということに気づく。研究の幅を広げるためには、こういった経験も必要であろう。やはり、自分の専門分野を限定してしまうことは、現状では弊害が多いことに改めて気づいた。紹介されたことに感謝。まだまだ色々な経験と勉強が必要だ。 2010年9月27日（月） 委員会主査幹事合宿 色々な経緯があって、委員会の主査幹事会を、長野県蓼科にある私の親戚の別荘で行うことになった。今回は本当の意味での山篭りでひたすら議論するという目的だったので、手作りのレンガ窯に火を入れることは無かったが、久しぶりにゆっくりと議論と懇親を深めることができたと思う。今年は、家族でその別荘に行く予定がことごとくキャンセルになってしまっていたので、私だけ悪いなと思いつつ。 非日常の場所で議論することは、単に終電を気にせずに酒が飲めるからという低レベルの話ではなく、徹底的に議論しよう背水の陣で参加するという良い影響があった。振り返れば、最近は委員会の皆さんが忙しい立場になってきたのか、夕方に会議が終わっても帰る人が多かったので、久々に懇親会でひざを突き合わせたように思う。また、大の大人が楽しそうにスーパーに買出しに行ったり、食事の準備をしたり、代わり代わりに風呂に入ったりすることで、一つ屋根の下で団結感も出てきたように勝手に思っている。別荘の掃除については、責任者である私が指揮する必要があったので、○○先生自らが「私がトイレ掃除します」、私が「○○先生、ゴミ捨てに行ってきてください」など、普段では聞けない会話と行動がなされていたのを、観察していて楽しかった。学生が見たらちょっとびっくりするような世界だっただろう。研究室の夏合宿も同じことを目指している面もある。 2010年9月16日（木） 芋づる式 今回、夏合宿に臨むにあたり明治時代の土木技術者、田辺朔郎（の琵琶湖疏水に関わる若かりし頃）について初めて勉強した。資料は田村喜子氏の「京都インクライン物語」。当時の全ての人の必死の姿に感動。その本の中で、幕末からの明治にかけての近代国家の成立の時代をうかがい知ることができる。その後の壮年期の田辺朔郎の活躍も気になるし、このプロジェクトを導いた京都府知事の北垣国道の生涯も学びたくなった。私が今はまっている幕末についても、もし数年前の私であれば幕末が何たるかがわからず、田辺朔郎が幼少時に味わった旧幕府側か否かという大きな違いも理解できず、薄っぺらい理解になったかもしれない。 合宿で空き時間にたまたま訪れた淡河川疏水についても、三大疎水事業ということで、詳細を知りたくなり、他にも理由があったのだが、土木学会で今年に発刊された「沖野忠雄と明治改修」を購入してしまった。ぱらぱらめくってみると、古市公威ももちろん出てくる。土木技術者たるもの、勉強せねば。土木学会「古市公威とその時代」の続編にあたるような本なので、それも、読まねば。 ネットで田辺朔郎本人を調べようと思って引っかかったのが、田辺朔郎の孫に当たる田邉康雄という方で「生涯現役エンジニア」という興味深い著作があることを知る。次に読んでみたい。 土木工学教室の海外見学会では、私は参加しなかったが、先日までゴールデンゲートブリッジなど、訪れていた。出発直前に、参加する学生と話をしたところ、ジョセフ・シュトラウスを知らない、という。そこで、その夜、我が家まで来てもらい、「ゴールデンゲート物語」を渡した。実にすばらしい本なので、今度から研究室に置いておきたい。何も知らないと、単にエンジニアとして、設計や施工をしたのかと思いきや、京都に活気を取り戻したいという北垣国道と同じように、サンフランシスコの発展のために、反対を説得し、金策をして、裁判に訴えられながらも、世を駆け回って遂に成し遂げた人である。涙なしには読めない。 前から日記にも書いている生麦事件について、ここからも近くなので、本物の生麦の地を踏み、資料館（生麦事件参考館という）を訪れたいと思っていたら、先日その機会を得た。たまたま生麦駅の近くを通りかかり、空いた時間があったのでエイヤっと訪れると、館長の浅見武夫氏がいらっしゃった。通常は常駐していないので事前予約が必要だったのだが、たまたまいらっしゃったということで、施設の見学と講演のビデオを見せていただき、その後30分ほどお話できた。知識だけなく、お人柄に強く惹かれた。吉村昭の本、アーネストサトウの両方からで生麦事件を知っているつもりであったが、それらには書いていない、彼が退職後に独学で研究した生のお話も聞くことができた。今、執筆活動をされているとのこと。11月に横浜市鶴見区で2時間の講演をするということを紹介頂いたので何とか時間を作って参加したいと思っている。私が言うのもおこがましいが、超一級の方である。 出会った方といえば、兵庫県南部地震において、野島断層保存館の副館長の米山正幸氏のお話も心に響いた。私たちが訪れた時間にたまたま、米山氏がいらっしゃってお話を聞くことができ、氏は終了後すぐに別のお仕事に出られた。ネットで名前を検索すると、やはり、色々なところに紹介されている著名な方であった。 夏合宿に限ったことではないが、土木系の見学会について、いくつかプランを考えている。足尾鉱毒事件について勉強したいと前から思っていて、夏合宿が終わった今、読んでみることにした。田中正造の名前とヒゲもじゃの写真は中学校の歴史で習ったが、それっきりだった。城山三郎の「辛酸」をまず読んでみた。実に深い。他に立松和平の著作を１冊買っているので、それを読んだら、今度は対して国側の主張を学んでみたい、と思っていた。そしたら、先ほどの「沖野忠雄と明治改修」の目次をめくると、足尾鉱毒事件、渡良瀬川改修のページもあった。土木工学の専門書において、このプロジェクトがどう評価されているのか、楽しみだ。 明治時代の国家と人について、私が意識したのが、星一（ほし はじめ）である。製薬王と称された星薬科大学の創設者であり、作家星新一の父である。私は中学校時代から星新一の大ファンで（大学生のとき、星新一のショートショート全集3万円を購入！）、その中で父について書いた著作、「人民は弱し、官吏は強し」を、確か高校生の時に読んで衝撃を受けた。そのような時代だったといえばそれまでだが、出るくいは打たれる、官が民を苦しめる時代があったのか、と悔しくて仕方がなかった。その本は処分してしまっていたので、つい最近買い直して、今読んでいる。富国強兵に突き進む時代、足尾鉱毒事件の時代、色々なことがオーバーラップしている。 先日異業種の人とお話しする機会があり、余部鉄橋が掛け替えで鉄橋からコンクリート橋になるけれど、何故？という質問を受けた。何となく概要は知っていたので、その答えや、今研究していることとこの橋との関連性をお話した。その後、自信を持って答えられなかったことが気にかかっていると、最近見つけて読み始めた、とある土木景観学系の先生のブログおいて、余部鉄橋の架け替えプロジェクトについてコメントされ、田村喜子氏（前出！）の「余部鉄橋物語」も紹介されていた。あ、これは読まなきゃとの直感で、注文ボタンをクリック。読む本の山（本当に自宅に読み待ちの山ができている）にエントリーされた。 以上、最近の出来事が、色々なところで繋がっていたので、どうしても書きたかった。 2010年9月15日（水） 夏合宿感想 集まりつつある夏合宿の感想文を、先着順に公開しました。最終的にアドレスは変わると思いますが、とりあえず。 http://homepage1.nifty.com/1976/diary/2010summertrip.htm 2010年9月13日（月） 近況 大きなイベント、夏合宿が終わった。これについては、学生の感想文を収集中のため、写真とともに早く総括をしたい。 11日は土木学会１級技術者の試験。3年前に受けた前回は経験問題が10点不足して不合格。受験を2回パスして今年は手ごたえを感じている。ただ、経験7年以上が目安のこの資格は、更に上級の12年以上という上級技術者も控えているので、なんだか受験に追われている気もしないではない。 |
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