朝起きるがまだ気分が悪い。今日こそは病院に行こう。保険を使うためには保険会社に電話して病院を紹介してもらわなければならない。保険のパンフレットを見るとベトナムからはシンガポールへコレクトコールをかけろとある。気分が悪いのをこらえてホテルのフロントへ行き、コレクトコールを頼んだ。下手な英語で何とかコレクトコールにしてくれと伝えたつもりだが、本当になっているか怪しい。保険会社につながったが、相手にコレクトコールになっているか聞いてみると案の定なっていない。しょうがないのでホテルにかけ直してもらうことにした。その間約２分。ホテルからは８.６ドル（約１０００円）請求されてしまった。
病院は何処？
電話で病院名と電話番号とおおよその場所を聞いた。詳しい場所はホテルの人に聞いてくれと言う。そこでホテルの人に場所を聞いてみると、僕の持っている日本語で書かれている地図では通りの名前がわからないから説明できないと言う。なんて事だ！でも、だいたいの場所を教えてもらい、自分で探せば見つかるだろうと思い出発した。
病院まで１キロくらいの距離なので歩いて行くことにした。しかし、歩くにつれてだんだん気分が悪くなり意識が朦朧としてくる。はじめは国際病院だから立派な建物ですぐに見つかるだろうと楽観的に考えていたが、全然それらしき建物は見つからず不安になってくる。とりあえず道行く人に聞いてみたが、一般のベトナム人は英語がしゃべれないし読むこともできないため手帳に書いた「ｈｏｓｐｉｔａｌ」の意味も通じない。あてもなくさまよっていると今度は大きなビルがあった。マイクロソフトのオフィスも入っているビル。受付の人は英語が出来るはずだ。受付で「ＡＥＡ International Hospital」の場所を教えてくれと頼むと、受付の女性は「そんなのはない」という。相手は「このビルにはない」と言いたいらしい。そんなことわかっているのだが、ちゃんと英語が通じない。結局病院の場所を教えてもらうことは出来ずビルを後にした。
一体どうすればいいんだ？英語が通じないことに腹が立ち、さらにすぐ見つかるだろう思っていた自分の軽率さに嫌気がさしてきた。そんな時見かけたのがホテル。ホテルといっても日本人がイメージするような立派なものではないが。ホテルの人はたいてい英語が話せるはずだ。入るとフロントには若いお姉さんがいた。英語はＯＫという。病院の場所を聞くと、はじめは知らないと言ったが、電話番号を見せるとわざわざ電話をかけて住所を聞いてくれた。なんて親切なんだ。結局、病院ははじめ教えてもらった場所とは全然違う方向にあった。あの説明はいったい何だったのか。お姉さんにお礼を言って、ホテルを出た。
結構遠いので歩く気にはならない。シクロを止め、先ほど書いてもらった住所を見せて行ってもらう。
９時、やっと病院に到着。一時はどうなるかと思ったが、辿り着くことができて良かった。保険会社からすでに連絡が入っていたようで、スムーズだった。緊張して診察室に入ると、なんと日本人の先生だ！よかった。安堵感で涙が出そうになった。診察の末、疲労と軽い食中毒で、大きな病気ではないとのこと。診察してもらっただけでも元気が出てきた。
元気になってきた気がするので、改めてハノイの観光をしよう。そう思って、バイクタクシーを拾って、いざホーチミン廟へ。ここには、偉大なホーチミンが冷凍保存されて眠っているのだ。
いかにも社会主義国だといった広い広場の前にその建物はあった。入り口の前に兵隊が直立不動で立っている。しかし人影は少なく、様子がおかしい。急いでガイドブックを見ると、月曜休館の文字が。ほかの観光地も休みが多いらしい。ついていない。
１９時。夕食を食べに行く。体力回復を願って日本食を食べよう。ガイドブックに載っている「サイゴンさくら」へ。外は雨が降っている。
怪しいのれんをくぐると、ベトナム人の店員がぎこちなく「いらっしゃいませ」。中には日本人ビジネスマンばかりだった。カウンターに座り、とんかつ定食を注文した。結構おいしかった。93000ドンと思ったよりは安い。ベトナム人が和服を着て、日本人ばかりの客を迎えているのは異様な雰囲気だった。日本の新聞や雑誌が充実しているのは有り難い。